市民本位の健康医療に向けて

第64回(7月)定例会報告(メモ)

2013年7月25日 by KISK事務局  


第64回(7月)定例会報告(メモ)

梶原代表から、中間報告、都市と農村の交流事業の一環として計画中の「ふるさと健康倶楽部」(健康道場)の進展状況についての説明があった後、桧田仁先生の講演「近年の医療の諸問題と患者・市民へのアドバイス」がありました。実に多くの統計的根拠を示され、日本においては、多額の医療費支出には、本来必要でないところに大変大きな金額が使われ、その無駄を省けば、増税しなくても多くの苦しんでいる患者を救うことができるという、説得力のあるお話でした。同時に、嫌われても正しいことを訴えたいという、人間味があふれ、熱意みなぎる講演でした。

1)中間報告 &「ふるさと健康倶楽部」案紹介 梶原 代表

kaji1情報の共有として、前回の定例会の「健康生活推進協会」専務理事江木様のお話と健康生活検定の簡単な復習と、本日の講師桧田仁先生のご紹介、来月8月の講演のテーマ「ナチュロパシー」と講師森本美喜子様の簡単なご紹介がありました。また、患者・市民の自衛策としては、都市と農村の交流事業の一つとして計画を進めてきた、農村に健康道場をつくる構想が公的に認められ、来年度から各地で具体的に事業展開の運びとなるとの報告がありました。

7月12日に三菱地所のオフィスで、不動産関連企業に行ったプレゼンテーションの資料の説明。農村と企業が共同で、過疎地域に、「ふるさと健康倶楽部」を設立する。「安らぐ、育てる、学ぶ、遊ぶ、収まる、役立つ」の6つの視点から、農村空間の優先的利用・社会奉仕システムを「ふるさと健康倶楽部」として構築する。出来れば、1社1村とし、国民運動としての発展を期待する。具体的な候補地もすでにいくつかある。等々の説明がありました。

2)講演「近年の医療の諸問題と患者・市民へのアドバイス」

元衆議院議員・桧田病院名誉院長 桧田 仁 様

hinoki1特徴ある高い声で、やはり政治家としての経歴のあることを思わせる先生の熱弁の開始。まず、(前回の講師)江木様からの紹介ですが、江木様のお子さんの主治医だったと自己紹介の後、まず、問題の提起から、本音で話したいと始められました。

日本の医療の最大の問題は、「物」中心の考え方。例えば、医師ががん患者に対し、1時間相談に乗っても363円。抗がん剤を処方すれば15万円。「物」の売り買いしかお金にならない。これは他の国にないこと。

次に「薬」。薬による病気が世界一多いのは日本。WHO も断言している。

次に、「放射能」。東北には何度も行っているがいつもガイガーカウンターを持ち歩いている。実際がんがん鳴る。広島、長崎は他の地域に比べ2.5%がんが多い。やはり、原爆の影響だろう。怖いのは子供たちの体内被曝。小さいお子さん、特に甲状腺には気をつけてあげて欲しい。

次に「企業」の医療費負担の小さいこと。医療費の負担割合は、自己13%、保険28%、企業20%、国26%、地方13%となる。企業の負担割合は先進国で最小。この事実は広告宣伝費に頼るメディアには書けない。企業負担は、ヨーロッパは30~35%。アメリカは30%。企業は儲けていいのだが、負担が少ないのは問題だ。日本では、企業負担の小さいのには、公共事業が多いこと、天下りの多いことが背景にある。日本の建築業従事者は800万人。他の国は世界中合わせて750万人。ドーバー海峡を横切るトンネルと比べ、日本の青函トンネルの建設費用はほぼ同じ規格でキロメートル当たり3倍。ODA は96%日本企業が持って帰る。

次の問題は、病院は大きいほど、あるいはベッド数が多いほど儲かる仕組になっていること。グループとなっているような病院が儲かる。官公立病院の経営には税の補てんがあり、患者は、税の形で支払っていることも認識したい。

hinoki2日本で貯金の多い10社のうち5社は製薬メーカー。100社中50社は製薬メーカー。世界平均の薬の処方数は患者1人に対し3剤。日本は1人の患者平均13剤の薬が処方されている。1人で60剤という例もある。5剤以上は毒と思うこと。副作用が怖い。

例は、コレステロールの薬。世界的にはコレステロール270前後以上で異常とされるが、日本ではコレステロール異常値は219程度からと非常に低い。コレステロール薬処方の95%は他の国なら正常値(219~270)の範囲。恐ろしいことに、250以下で投薬された人は5年早く死ぬことが、ヨーロッパの30万人規模の調査の結果わかっている。また、確率的に、コレステロールの高い人ほどがんにならないことも分かっている。薬の多用の背景には、学会の仕組みも大きい。学会の多くが、製薬企業、医療機械業界の支援を受けている。

塩の問題。昔(1953年)、塩分を20倍にした食事を6ヶ月間与えられたマウスの実験で10匹中4匹に高血圧の症状が出たが、6匹は逆に下がったという結果が出て大騒動になった。以後、塩分と高血圧の関係は過大に強調されている。減塩食はお金になることが背景にある。

たばこも大きな問題。全面禁煙したら6年後に医療費を10兆円下げられる。どんなヘビースモーカーでも6年禁煙したら無罪放免、たばこの影響はなくなることが証明されている。日本は喫煙率が世界で一番高い。妊婦の喫煙率も世界一。妊婦の喫煙は非常に危険で、未熟児、流産の元。大人になってキレやすくなる。母親の喫煙は子供の健康に大きな影響。子供が早死にすることがわかっている。日本では釧路の例・・・3歳から喫煙する子がおり、小学校で20%、中学校で70%の喫煙率。子供の死亡率が高いことが分かっている。禁煙への大きな障害は、税収。たばこは自治体の大きな収入源になっているので禁煙の方向に動かない。その税収100円に対してたばこ原因の医療費が250円かかることを認識し、勇気をもって立ち向かってほしい。

精神科の問題。医療費の半分は精神科。最近、精神病院への強制収容、退院の条件を定めた法律が圧倒的多数で通った。精神病院の入院年数は平均18年、ほぼ死ぬまで入院。退院条件は厳しく、ほぼ出られない。自殺者が多い。精神科の薬は、徐々に増え、飲むほどひどくなり、入院となる。

生活保護の問題も大きい。生活保護の費用は全体で3兆円だが、そのうち半分の1兆5,000億円は医療費、薬代。睡眠薬、抗生物質、抗がん剤等、患者負担がないから高額な薬が出されている。言わば仮病も多い。服用しないで現金化、ヤミに流したりしている。生活保護患者に本当に必要な医療費はわずか1,000億円。大阪だけでなく、福岡、東京、神奈川などでも見られる。

難病、肝炎などの製剤薬害、交通事故の脳挫傷、エイズなどの治療に必要な医療費は全部合わせても1,500億円で済む。がん患者は600万人。がんも患者にはお金がかかる。お金がなくて治療を中断する人も30%ある。ところが、がん患者をすべて治療するとしても4,000億円で済む。リハビリは保険点数がほとんどない。30日間では全く不足。400億円あればすべての患者のリハビリが出来るのに。生活保護者に使われている医療費と比べ実にアンバランス。

抗がん剤は大きな問題。抗がん剤は一番儲かるので病院の経営上重視されるが、100ほど抗がん剤があっても、見直しがあり、10年後には限りなくゼロになるほどひどいもの。抗がん剤は食欲を減退させるこれでがんが治るはずがない。がんセンターにも、抗がん剤以外の治療もお願いした。患者も、抗がん剤は2クールでやめてほしい。

混合診療はすべきでない。

病気は脳下垂体が病気。脳下垂体には、生きる、食べる、子孫を残す、等の働き。食欲が落ちて病気が治せるわけがない。がんを治すホルモンが出す、NK細胞を活性化させるには、

1)恥ずかしがる、2)笑う、3)反省する、4)感謝する、5)他人のために生活する

を実践すること。また、母のことを思い出すこと。母を思い出すと脳下垂体が活性化される。圧倒的に母の遺伝子を受け継いでいる。死んでもあなたの体のことを心配するのが母。高知県宿毛市延光寺の石碑にある弘法大師の言葉「誰も皆、体は母の形見なり、傷つけまいぞ己が形を。誰も皆、心は父の形見なり、恥ずかしめまいぞ己が心を」。東北でこの言葉を話したら、自殺者が減った。医療の基本は母心、どんな薬、医者もかなわない。マザーズハート財団の理事長をしているが、世界中の患者を救うために今後も頑張る。

ベトナムの支援をしている。9月に訪問予定。関連して何かあればご連絡を。体内被曝の資料もご覧ください。ご意見、ご批判等どうぞ、と、感動的で説得力ある講演を締めくくられました。大拍手。

situgi_outou終了後、梶原から健康医療市民会議の設立の趣旨からも全く同感との感想。横倉先生からも、自院でほとんど実践しており、まったく同感とのコメント。先生から、塩分についての質問には、自然塩がいいこと(カリウムや亜鉛を含むので血圧を下げる効果)。筋委縮症には全員助けて80億円で済む。医師の相談にはせめて1時間363円でなく1万円は出してほしい。等々の回答。

また、先生の、社会保障政策提言、「医療改革による医療費節減」「国民が安心して健やかに送れる医療改革断行」「医療保険料・介護保険料の見直し」の案が希望者に配布されました。

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