市民本位の健康医療に向けて

第61回(4月)定例会報告(メモ)

2013年5月7日 by KISK事務局  


第61回(4月)定例会報告(メモ)

第61回(4月)定例会は、初めての会場となるTKP市ヶ谷カンファレンスセンターにて、梶原代表の中間報告、「レクトレ事業」の計画の報告に続いて、東京家政大学の中村信也先生の医食同源の講演がありました。

1. 中間報告 梶原代表

前回の定例会の簡単な復習、今回の中村先生の紹介、次回の定例会の講演の紹介がありました。

2.「レクトレ事業の計画」梶原代表

kajiwara市民会議は、市民自身が自ら考え、勉強し実践する健康医療を推進し、特に認知症の予防と改善に力を入れてきたが、本年度予算に農林水産省が「都市農村共生・対流総合対策交付金事業及び「農」のある暮らしづくり交付金事業」を計上し、農山漁村の「健康づくり」を支援すると同時に都市の市民の健康づくりとコラボレーションさせ、併せて伝統的な農山漁村文化の保全・開発や地域の活性化を応援するもので、この中で我々は、農村人口の高齢化とそれに伴う認知症等の増加の予防法としてレクリエーションと心身のトレーニングを楽しい協働的接触の中で実施する「レクトレ(自立ポテンシャル強化)事業」を現在いろいろの健康づくり事業を実施されている団体や企業の皆様と一体となりその拡充強化に協力したいと考える。農林水産省事業の本年度当初予算の5月の各地域の個別事業の応募は本格的には間に合わないかもしれないが、来年度予算の編成又は補正予算にむけて、地域が健康づくりに自主的に立ち上がるのを支援したいと考える。またこれら各地域が立ち上げる個別事業をバックアップし、また今後の個別事業の計画予算づくりなどを総合的に支援できる「交流ネットワーク事業」もこの中で農林水産省がスタートさせるので、それぞれの地域が市民の立場で推進するプロジェクトを総合的に支援する仕組みを考えたいと思っている。そのため地域が主体で関係する市民組織が協議会的なものを立ち上げるのを支援する立場から、事業の共通部分は協働させながら、それぞれの固有部分は関係団体が独自に支援する「共存共栄」の仕組みを考えたい。即ち「認知症や心身運動等に関係する幅広い方々の協議会」を作り、「広域ネットワーク事業の構想」を取りまとめ、農林水産省と協議し、事業計画のモデルを作り、地域及び企業等に呼びかけ、農村部の健康づくりと農村文化の振興や市民農園事業や湯治や森林浴等の農林漁村の「宝物」の発掘と普及、農山漁村の資源の活用と農山漁村の農林水産物の販売ルートの支援を行うとともに、同時に都市部の企業がかかえている職員のうつ病対策や家族の認知症対策の協働的な推進にも協力していきたい。そのため「地域での健康づくり実践リーダーの育成や研修」を理学療法士、作業療法士、心身機能活性運動指導士等の方々の協力と医療関係者の皆様の支援を得て行いたいと考えている。これらは南海トラフや首都直下型地震をも見据えた大規模震災時の避難対策力の強化と通常時からの具体的な都市と農山漁村の交流の場を実現するものでもある。この際農山漁村で不足している健康指導の人材の養成、情報や人脈の涵養の場も提供し、一方で都市部に不足している自然との接触の中での健康づくり、五感の活用等自然との共生の中での人間力の高揚、危機管理時の農産物の購入ルートとの日常の相互交流、避難力の身体的社会的な能力醸成にも貢献するものとしたい。皆様方のご協力をお願いしたい、と「レクトレ事業」全体の今後の展開の方向のお話がありました。

2「医食同源にまつわる話・食は健康にどこまで関与するか」

中村信也様 東京家政大学教授・医学博士・整形外科医

nakamura_sensei梶原代表から、鹿児島大医学部卒の整形外科医で東大医学部や厚生省・環境庁や外務省アフリカのコートジボアール大使館の一等書記官兼医務官等もつとめられ現在東京家政大学栄養学科教授の、非常に幅広い知識と発想の、しかも洒脱な魅力ある紳士の講師から良い生活とはの話を聴けるのは幸せ、との紹介で、元気が溢れる文化的雰囲気の中村教授が登場され「医食同源にまつわる話・食は健康にどのように関与するか」のお話が始まりました。東京家政大学は板橋区のJR埼京線の十条駅から徒歩5にあり、新宿にも15分で行けすごく便利だ。キャンパスの広さでも東京で3番目、毎年1400名の新入生を受け入れている。世間では大学の4割は定員割れといわれているが本校は全く順調だ。家政学部栄養学科で公衆衛生学の講義を担当。明治に渡辺辰五郎翁が創設した130年の伝統ある渡辺学園(東京家政学園とは全く別)で昭和24年に大学、平成元年大学院を開設。栄養学も6年勉強できる。裁縫の知識と基礎的教育から始まった学園で「裁縫雛形」の「形」を作って教える伝統もあり卒業式は全員袴での実学中心の大学。全学の教育理念は「自主自律」と「愛情・勤勉・聡明」だが、公衆衛生学では衛生に関する全て、インフルエンザ、感染症、精神病、ガンや日本の医療制度全般の基礎知識を教えているが、医者として毎月第四の土と日曜日の週末医療にも従事。さて「医食同源」の言葉は良く使われ、医療と食事は同一とか、病気の根本原因は食で・病気を治すのも食だの意味にとられるが、これは中国の古典書にはなく、医療には手術や運動療法もあり、薬大好きの日本人が考えた言葉かと思われる。この言葉は意味が不明で使用しない方が良いと思う。

中国には「薬食同源」の言葉がある。食事も薬も同じ効果のものがある。チベットの4000mのラサで経験したが高血圧や胆石や背中かゆいや便秘について診断し、薬草や土やミカンを与えていた。山岳地帯は薬草取りで生活していた。土はモグラやみみずや竜骨も関係。薬食同源の考え方は同等の投与量なら同効果のはず。図で投与量は、薬は短期に沢山・食事は投与期間が長く少しずつ投与で同量を示された。中国では薬はパッと飲みすぐ逃げる、日本では薬をちょろちょろ長く飲ませる。少量で最小限にすべきだと思う。

picture1「病気はどうして発生するか。病気の多因子発生論」。いくつかの危険因子が重なって発症。単一因子では発症しない。アレルギーでもそうだ。アレルギーは造られた病気。幼稚園児でゴマアレルギーや車に酔うとの精神性もある。日光いろは坂でカラオケ大会しながら登ったら酔う人ゼロだった。注意をそらすことが大切・精神的なことだ。結核菌も同様に存在すれば全員のはずだが1人か2人だ。4-5因子が重なって発症する。40人中1人の場合は社会病や貧乏病か。エイズも最初は範囲が広かったが最近では発症が少なくなってきた。児童の被災も阪神大震災では鉄道沿線で異なった。災害は弱者を襲う。インフルエンザも子供や老人が弱い。食べたので即アレルギーはない。医者はならない。病気多因子発生論を秤ハカリの上の要因量の増加と発症ラインの針を示され、要因が多いと発症と。

○「病気多因子発生論」

「病気」= 「先天因子」(遺伝や家族性)×「後天因子」生活態度(気の持ち方・食事・運動・休養)

「生活習慣病の発生 糖尿病・高血圧・脳卒中・がん・虚血性心疾患」。

脳卒中は日曜夕方からが多い・仕事が面白くない・行く気がしない。自殺も月曜が多い。笑いや笑点がよい。ガンはまじめな人・几帳面な人・真剣に考える人に多い。

「先天因子」・両親の状態  「後天因子」・心配性+食のかたより+運動不足+休養睡眠のまずさ 生活習慣病は生まれつきのレールはあっても、生活の仕方(ライフスタイル)で発症を遅らせることができる。

最大の予防要因は「健全な精神」、最大の発生要因は「考えすぎ」。1楽しいことを考えれば血液さらさらで、脳卒中・心筋梗塞・高血圧・がんの予防、2「痛い」と思い続ければ一の痛みは十倍になる・腰痛・背痛・関節痛の悪化、3多忙であれば気分不良を忘れる・暇であれば考えることは最悪のシナリオ、4暇であれば朝から飲酒・アルコール依存症へ。5繊細な心でストレスを受け入れへ・男性はアルコール・女性は甘いものへ(ストレス太り)。「ボランティア」がお勧め・天が生かしてくれる。

「食はどこまで病気発生に影響するか」。「生活習慣病五疾患」・がん・脳卒中・虚血性心疾患・糖尿病・高血圧の受療率変遷の表をご説明。1955年100が96年に1400、現在1200に。次いで受療率と栄養摂取量(カロリー量・炭水化物量・蛋白質総量と動物性量・脂肪総量と動物性量)のグラフ類似性を示され、結果として「生活習慣病受療率と食事の関係」について、1受療率の増加は、炭水化物とカロリー摂取量の減少と強く関係、2受療率の増加は総脂質・動物性脂質摂取量と強い正比例関係とし、「生活習慣病は米離れと肉食との強い関係がある」とされた。終戦直後1904kcal,平成17年1903kcalで最近は1800kcal位、カロリーの摂り過ぎではない。次いで受療率と食品摂取量の表で受診率が上昇しているが特に魚・肉・卵・乳類の増加がある生活習慣病の予防食事「日本人の食事」は1米を中心の食事、2一汁三菜の献立、3肉魚はおかずで主食とならず、肉のかたまりを食べない、4ダイエット食が生活習慣病を減らすかは疑問。「日本の誇れる食事・本膳・一汁三菜」の写真を示され病気は少ないとされた。「病気の予防・治療に効く食品」に関して、1一発食品を求めないこと2サプリメントの飲み過ぎは危険とされ・植物繊維サプリのフィンランドの研究・βカロチンのサプリの肺がん誘発確実と植物中のカロテノイドは抑制・ウコンの飲み過ぎは肝臓疾患確実とされた。そして「食事で健康を」の要は「バランスの摂れた食事」をすることで1三大栄養素のバランスは炭水化物・穀物5、蛋白質・肉魚介類や豆類3、脂肪・乳製品2の割合とされた。本膳形式では、ご飯1-2,汁1,魚や肉1,野菜果物1,酢の物や香の物0.5の割合で、「薬膳の五色によるバランス」は、緑・野菜と果物2,赤・肉魚卵類2,黄・穀物豆類4,白・乳製品や油1,黒・海藻やキノコ1の割合がバランスとされました。日本人は米離れとともに肉類や乳・油脂類を増やし生活習慣病の増加をもたらした。肉のかたまりを食べ始めると急速に増加した。しかし、その原因が肉から、食べ過ぎによる肥満にすりかえられたのではないかと思う。続いて会場からの質問「鳥インフルエンザの報道」「ウコンのサプリの対応」「薬や肉の量の考え方は」「絶食は」について「人と人はないだろうと思うが。お年寄りと子供は大人より弱い」「多量飲むのは良くない。薬でも少量は直ぐに効果が・多量だとよくない」「薬の多量は良くない・あくまで少量だ。必要最小限を摂る」。「ミニ絶食は問題ない。二三日なら大丈夫だが十日はダメ」とされ、病気多因子発生論から見ても「心配性は良くない。明るい心で真っ直ぐに歩こう」と締めくくられました。また素晴らしい御著書「やっぱり日本人は米だ!! Dr.中村お米を語る」中村信也著アビーム出版及び「国際薬膳・実用山菜検定テキスト・基礎知識編48菜」NPO国際薬膳協議会編アビーム出版のご紹介もありました。非常に判かりやすい理論的で具体的な健康と食事の関係のお話に、拍手喝采が続きました。

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