市民本位の健康医療に向けて

第47回(2月)定例会報告(メモ)

2012年2月28日 by KISK事務局  


2月21日(火)日本財団会議室にて開催。梶原代表の市民学第5弾『病気は自分で治す~賢い市民学「人体情報学」の実践』と㈱星野リゾートの渡邉径子様の『温泉と入浴で健幸』のお話を聞きました。

Ⅰ)中間報告 梶原代表

中間報告の前に、会員の榊原様の新しい著書(代々続くウルトラリッチ)の紹介や、自身も顧問をしている虹の会(芸能・音楽などで老人福祉、児童福祉を向上する目的で設立された公益法人)のセミナー・チャリティパーティイベント(3月12日明治記念館)の案内がありました。

中間報告では、情報の共有として、1月の定例会での上馬塲先生の講演「代替医療とアーユルヴェーダ」の簡単な復習、先生の診療が受けられる「ハタイ・クリニック03-3719-8598」の紹介の後、本日の会の予定も簡単に説明。自身のセルフメディケーションのパートについては、温泉療法に関しては、会員の大西様が内外1000か所もの温泉を体験された温泉通で、日本温泉気候物理医学会の活動もされているという紹介も。また、前頁に案内してあるように、次月3月22日の定例会講演の予定、久島先生のはり灸の講演の紹介、自身の市民学第6弾若返りの法則の話の紹介がありました。

市民患者の自衛策として、フェースブックに「健康医療市民倶楽部」の看板を掲げたこと、心身バランス計の販売計画を練っていることなどの報告がありました。

Ⅱ)セルフメディケーション『病気は自分で治す~賢い市民学「人体情報学」の実践』梶原代表

~テキストとして、人体情報学(計11頁)とその別冊(計48頁)を配付~

まず概要を説明するために目次に目を通す。第1に病気の原因と治療。病気を治すには医師の治療もあるが、患者自身の治癒力は不可欠。研究の結果、人体は統合情報システムであることがわかった。第2に健康か病気かは体のバランスが正常か、崩れているかである。恒常性(ホメオスタシス)が保たれているかどうかである。人体は「健康生産工場」であり、システムの稼働、材料の補給、操業、休憩、修理などがうまくいっているか、生産プログラムがうまくいっているかなどが重要。生産プログラムは人体でいえば、脳の働き。脳が体のすべての指令を出していると言うより、体の各部分が共有ソフトを共有していると言った方が良い。1台のスーパーコンピュータが脳で、体の各所にパソコンがいっぱいあると考える。この方が病気や症状を理解しやすい。これを人体に当てはめると、第3の人体情報システムの五則、好循環、医食・薬食同源、運動、睡眠、心身一如となる。ではどうするか。第4自分で「生活の心得十カ条」をつくってはどうか。

有益な情報を集めたものが別冊の情報チップ集。別冊最後の頁にある参考図書について少々触れる。参考図書は全部で34冊上げてあるが、梶原が代表して代読、紹介。例として、ムラキ テルミさんの書いた「ガンは自宅で治す」。ムラキさんは余命3カ月と言われたが、その時たまたま読んだ石原結実さんの「筋肉を少しだけ鍛えれば、がん、糖尿病、高血圧は防げる」を読んで自宅で実践。がんを消滅させたと言うキャリアウーマンの体験記。市民学として、五木寛之さんの「きょう一日」は自分で五木メソッド(体操)を編み出して実践している。中山武さんの「泉の会式玄米菜食」は食の要素もあるが、泉の会(がん患者の会)の同病相哀れむ励ましあいの姿勢がいいのではないか。

国家財政の問題もあり、自分で治す時代。簡単な病気は自分で治し、自然治癒力を高める時代。

古代ヒポクラテスは「病気は医者が治すのではなく患者が治すもの」と自然治癒力の重要性を訴えていた。現在では、耐性菌も増え、病院で、肺炎など、打つ手がない場合も多い。自然治癒力を高める方法は保険が利かない。たとえば、白血球を増やす注射もある。保険診療は医療のほんの一部であり、混合診療の在り方は根本的にみんなで考えよう。

そこで市民学の重要性が出てくる。市民の市民による市民の学習をし、他人任せにしない。それには平素から自分学をまとめるか、市民の代理人(エイジェント)をつくるか。意見情報を交換して切磋琢磨し、実践してはと思い、ネット上、フェースブックの健康医療市民倶楽部を立ち上げた。

人体を統合的にどう考えるかという本はない。人体は統合的な情報システム(IIS = Integrated Information System)であり、それにより生命活動を維持している。中心は神経ネットワーク。

学問、学説はどんどん変わる。市民にとって使いやすいものがよい。プラシーボ(偽薬)効果が示す通り、納得して使うと効果が違う。

注)テキストの 人体情報学(11頁)とその別冊(48頁)は当会ホームページに掲載してあります。

Ⅲ)『温泉と入浴で健幸』㈱星野リゾート スパ事業開発・企画・教育 渡邉 径子 様

(渡邉さまは会社で教育も担当されていることもあり、ビジネスウーマンというより正に先生という雰囲気を持っておられました。)まずは温泉の歴史から。玉造温泉は1300年の歴史がある(出雲風土記)。日本人と温泉のかかわりは、4000年前、縄文時代からある。万葉集、風土記、古事記、日本書紀にも出てくる。戦国武将も利用(信玄の隠し湯)、怪我の治癒。江戸時代の医者は薬の処方の他、特に庶民には温泉を進めた。貝原益軒も養生訓にて入浴法の記述。温泉が流行し、伊勢参りのついでに有馬温泉や城崎温泉なども使われた。熱海の湯は家康も大変気に入り、湯を一杯江戸城に運ばせ、城内で湯治をした記録、各地の大名もそれを真似たとの記録がある。明治時代にはすでに湯治の習慣のあったドイツなどの外国人医師が日本各地の温泉を試した。

(ところどころで具体例を上げて注意がありましたが、玉造温泉の例では)温泉によっては湯量が少なくかけ流しが出来ないようなところもあるが、必ず源泉の出ている場所があり、ゆっくりつかった後は源泉を浴びて出よう。

温泉に関する間違った言い伝え・・・・どんな温泉も肌によい、疲れがとれる、長く入った方がよい、1日何度も入った方が良い、熱い方がよい、しっかり体も洗う・・・はすべて間違い。温泉は刺激的であることを認識しよう。酸性の強い温泉はたんぱくを溶かす働きがあり、アルカリ性の強い湯は皮脂がとれる。刺激の強い湯に入る場合は、長湯せずさっと入る。

家庭も含め、入浴の事故は多い。年14000件と交通事故より多い。飲酒後、寒い日、高温、高齢者、起床直後の入浴は要注意。温度は38~40度程度がよく、42度以上は危険。

温泉の作用には、4つあり、1)物理的作用(温熱作用、静水圧・・・足の方が高い、浮力・・・軽くなると関節の負担軽減、粘性抵抗・・・筋肉に負荷をかけ間接の負担を下げる、など)、2)化学・薬理作用・・・成分の二酸化炭素は毛細血管を広げ血行をよくする、マグネシウムやカルシウムは肌のセラミドの合成によい効果がある。自律神経系への作用として、3)転地効果(気候や環境作用・・・変化に対応し恒常性の維持)、4)総合的生体調整作用 がある。

入浴の注意事項として、最初に(また適時)水分補給をする、メイクを落としておく、最初に体を洗っておく、かけ湯を10回から20回、手足から順に入り、みぞおちまで入ったら深呼吸を4回する。温泉成分を呼吸器からも吸収。肩まで入って深呼吸を繰り返す。水で絞ったタオルをそばに置いておく。(熱海のお湯を例に、硫酸塩、食塩を含み、肌の表面を潤し、傷を癒す。)

スパについて、語源には、Sanitas Per Aqua (水による健康) など諸説ある。医学の父と言われるヒポクラテスがコス島で作ったものが初め。ローマの浴場も有名。国際スパ協会という団体があり、そこでスパを定義している。それは「美と健康の維持・回復・増進を目的として、温浴・水浴をベースに、くつろぎと癒しの環境と様々な施設や療法などを総合的に提供する施設」とあり、正に日本の温泉旅館が当てはまる。

星野リゾートの紹介。所有ではなく運営をしている。不振の旅館の所有者に新しい運営方式を提案、建て直し。ブランドとしては、星のや(もう一つの日本がテーマ・軽井沢・京都・竹富島予定)、界(温泉旅館・日本旅がテーマ)、リゾナーレ(大人のファミリーリゾート・八ヶ岳・熱海)。それ以外もある。「水を通しての健康」をベースに、滞在中心の運営。

(入浴法を体を動かして実践)<肩こりに>腕を肩の高さまで上げて回転。関節の動きがよくなる。肘を上げたまま、息を吐きながら自分を抱きかかえる、逆に、吸いながら胸を張る。反復。手をそれぞれの肩にかけ腕を上げる運動。<足の冷え、ほてり、むくみに>深呼吸をしながら胸まで入る。足の指でグーチョキパー。少しでも足の筋肉を使うことが大切。手の指と足の指を組む。足の指で手の指を握る。組んだまま足首回し。各指の爪の両側を刺激。副交感神経の働きを良くする。等々。

(質問に対して)むくみも冷えと同じ方法でよい。入浴剤なら炭酸のはいったもの。たとえばツムラのバブ。町中の温泉(沸かし湯)でも成分が入っていればよい。

最後に、再度、足のグーチョキパーを強調されて講演が終了しました。健康のみならず危険防止も含め、実際に温泉に行かなくても出来ることもあり、大変ためになるお話でした。

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