市民本位の健康医療に向けて

人体情報学

2012年2月22日 by KISK事務局  


人体情報学

(未定稿)

~病気は自分で治す~

<賢い市民学「人体情報学」の実践>

2012・2・13

健康医療市民会議 代表  梶原 拓

<目  次>

第1 病気の原因と治療

1 自分自身の治癒力は不可欠               2

2 人体は「統合的な情報システム」            2

第2 健康はバランス 病気はアンバランスから

1 恒常性(ホメオスタシス)               6

2 「健康生産工場」(五つの原理)             7

-1 「システムの円滑な稼動」

-2 「有益物質(材料)の補給」

-3 「操業」

-4 「休憩と修理」

-5 「生産プログラム」

第3 「人体情報システム」(五則)              10

1 「好循環の保持」

2 「医食同源」

3 「運動」

4 「睡眠」

5 「心身一如」

第4 「自分流の生活の心得」(10か条)               10

第5 情報チップ集                      別冊

第6 参考図書

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第1 病気の原因と治療

1 自分自身の「治癒力」は不可欠

西洋医学の祖といわれる古代ギリシャの医学者ヒポクラテスは「病気は医者がなおすのではない。患者が治すものだ。」と患者自身の「自然治癒力」の重要性を認めていた。

現代のように医療が発達していないときも、50%の病人は病気が治癒していたという。

現在でも、医療を受ければ、医師による外発的な治療行為と、患者の内発的な自然治癒力とが相俟って治癒、回復へと向かう。外科手術でも、放射線治療でも、薬剤投与でも患者の治癒力があって初めて成功する。体力が弱ってしまってからは効果が出にくい。

予後の再発を抑えるのも患者自身の治癒力である。

病気の予防も、ワクチン注射んなど別に、すべて各人の治癒力の強弱にかかっている。

とくに最近は、結核菌、肺炎菌など、薬に対し耐性の強い細菌やウイルスが出現し、治療が困難なケースが増えてきている。病気を治そうとして入院した病院で耐性菌に院内感染して、打つ手も無くて亡くなる、皮肉な悲劇もある。こうした患者には、せいぜい点滴で栄養補給するほかともいわれる。免疫力を高めるため白血球を増やす注射もあるようだが、保険診療の対象外で、それをその病院で打てば、「混合診療」として治療行為全体が保険適用から外されてしまうといわれる。本来、患者の自然治癒力を高めるのは、治療の本体であるべきなのに、局部的な対症療法に終始しているのが現在の「保険診療」の実態である。

患者側市民としては、平素から自分の治癒力を高める努力をすつとともに、病気になったら病院の「保険診療」に命を「お任せ」ではなく、西洋医学、東洋医学などの垣根を越えて、保険診療外にも治療を求めて、自分の命を守らなければならない。しかしながら実態は全く逆で毎日多くの命が空しく失われている。

高齢化が進めば保険制度には段々と依存できなくなるとすれば、いよいよ患者側市民が自分の、あるいは家族の健康や命を守るため、自己防衛力を強化しなくてはならないことになる。「お任せ」でなく「自己責任」で学習し、実践しなければ、命さえも無駄にしかねない。

このため「市民学」の普及しなければならない。「借り物」の知識ではなく「市民の、市民による、市民のための学習」で、市民各自の「自分学」を修め、自分自身そして家族の命と生活を守る心構えが求められる。とくに健康とか医療については、安易に「他人任せ」にしないで、学習し、納得し、最良の道を選択しなければならない。

それには平素から関心の高いテーマ(キーワード)を決め、関係のありそうな情報を集め、自分なりに編集して「自分学」をまとめておくことである。誰もがそれを出来るものでもないので、代役を務める「市民エージェント」も必要となる

また、できれば、個人、個人の「自分学」に止まらず、グループで協働して、SNS、たとえばフェースブックなどを活用して情報の交流や意見の交換をする「情場」(情報価値の生産現場)を設け、「自分学」の一層のレベルアップをしていければいい。実際に集まって交流することができればさらにいい。

医療の世界でも、かってそうであったように「すべて先生にお任せします」では、医師側も困ってしまう。医療は医師と患者の協働、共同責任でないと成功しない。「患者の責任」をよく自覚すべきである。

先ずは、自分の体、人体について、正しく認識することだ。

2 人体は「統合的な情報システム」

生物の特徴は、「自己組織化」で、自律的に生命活動のシステムを構築し、稼動し、修復している。それが「生きている」ということである。

人体は統合情報システム(IIS)によって生命活動を維持している。

*  IIS  Integrated Information System

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人体IISは、既知の、そして未知の情報ネットワークで構成されている。

中心となるのは、神経ネットワークである。

人体IISは、人体の各臓器、細胞などの情報システム相互の連係プレイにより人体の恒常性(ホメオスタシス)を保持している。

人体各部の情報システムは、それぞれ現場で即時対応する自立性を発揮しながら、必要に応じ中枢神経の脳と連携をとり最適の選択をし、対応をする。

人体IISは、スーパーコンピューターである脳が一元的にコントロールしている「集権体制」ではなく、人体各部が、いわばパソコン機能を持ち、それぞれ自立して働きながら、必要に応じ、脳のスーパーコンピューター機能を、あたかも共有情報「クラウド」のように活用しているように思われる。

脳(ハードウエア)が臓器、器官、細胞のすべての上位に位置して一方的にコントロールする、上位下達の司令塔ではなく、体の各部が発する情報を受け止め、各種の情報を収集・整理して新たな情報(ソフトウエア)を創造し、蓄積し、必要なつど、発信する、いわば「まとめ役」とか「編集長」の役割を果たしていると考えられる。この意味で、脳は「新たな情報価値の生産現場」=「情報工場」(情場)で、各種情報システムの協同作業(コラボレーション)の「場」といえよう。

このコラボレーション(コラボ)ができないとき、脳や身体に異常が発生し、ホメオスタシスを保持できなくなる。

ホメオスタシスは、人体の体温、酸素、酸性・アルカリ性(pH)、酵素、腸内細菌、栄養素のインプット・アウトプットなどがアンバランスにならないよう均衡を保持する。

ホメオスタシスで中心的な役割を果たしているのが、神経ネットワークの中で植物機能といわれる自律神経系である。

自律神経系は、交感神経と副交感神経が拮抗しながらホメオスタシスを保持している。

生存競争の中で交感神経は「闘争」型、副交感神経は、「休養」型の役割を果たしてきた。

特に白血球のバランスには、「自律神経支配の法則」が働き、交感神経優位のときは顆粒球が増え、副交感神経優位のときはリンパ球が増える。それぞれ病気を予防し、あるいは予防する免疫機能をはたすが、いずれも過剰になればマイナス効果をもたらす。

ストレスは、交感神経優位の状況をこたらす。

顆粒球は、外傷などの強いが、過剰になると活性酸素を大量に発生し、人体組織や遺伝子を損傷し、がん細胞などを発生させる。

リンパ球は、大量の細菌やウイルスの侵入、がん細胞の発生に強いが、過剰になると正常細胞まで攻撃し、アレルギーなど自己免疫病を発症させる。

自律神経系は、エネルギー系とも関係する。

交感神経優位のときは「解糖系」が働き、無酸素・低体温でも糖分を直接エネルギーに変え瞬発力を発揮する。

瞬発力を発揮するには解糖系の働きが必要であるが、低酸素・低体温の環境下では、がん細胞の発生や増殖その他の病気が発症しやすくなる。

副交感神経優位のときは「ミトコンドリア系」が働き、有酸素・高体温でミトコンドリアが持続力のある大きなパワーを発揮する。

このためには、呼吸器系とのネットワークで、息を深く長くする「腹式呼吸」が効果的である・

また、入浴、食事、運動などで基礎体温を上げる必要がある。

そして、神経ネットワークの働きで、「ゆっくり」とした動作、「ゆったり」した気持ちのときに、副交感神経が優位となる。

しかし、副交感神経優位が行き過ぎるとリンパ球が過剰となりアレルギー反応が出やすくなる。

生命維持活動は、すべて化学反応で、必ず酵素が触媒となっている。化学反応に必要な物質の主なものは、主として消化器系で生産され、循環器系で人体約60兆の細胞に運ばれる。

消化器系で大切なことは

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1 「医食同源」といわれるように、食材に必要かつ十分な「量」の栄養素があること。ただ

し、量が過剰になると弊害を生じる。昔から「腹八分目」といわれるが、高齢になるほどに「腹七分目」か「腹六分目」でよい。

2 問題は食材の「質」にある。七大栄養素といわれている、たんぱく質、糖質、脂質とビタミン、ミネラル、そして食物繊維と水のほかに、「ファイトケミカル」(抗酸化物質として作用する、野菜や果物の色素や辛味成分)と「酵素」が必要不可欠。

3 酵素は、「消化酵素」と「代謝酵素」があり、体内に1万3000種類以上あるが、一つの酵素が一つの働き、たとえば炭水化物の分解のみ行う。そして、体内に存在している酵素には限りがあり、年をとり、使えば使うほど目減りしてしまう。

だから、常に新しい酵素を補ってやる必要があり、そして酵素の無駄遣いをやめなくてはならない。

4 酵素の乱用の一つは、食べ過ぎで酵素を使い過ぎ、白血球の活動などの代謝機能に支障をきたし、免疫力が不足してくる。

高齢化とともになるべく小食とし、生卵、生魚、生野菜や果物で酵素を積極的に補充しないといけない。植物酵素のサプリメントもある。

酵素の働きを助けるビタミン約30種、ミネラル約100種の微量栄養素も不可欠。そのうち1種類不足しただけで、病気が発生する。

(ビタミンの不足)

ビタミンA 視力低下、肌荒れ、肺がん、膀胱がん

B1 脚気

B2 口内炎、肝臓病

C 出血、免疫力低下

D 骨、歯の脆弱化

E 不妊、老化、動脈硬化

(ミネラルの不足)

鉄 貧血

亜鉛 精力低下、皮膚病

マグネシウム 心臓病、精神病

カルシウム 骨、歯の脆弱化、精神不安

5 消化器系が円滑に働くには副交感神経優位であること。ストレスで胃が痛むようなことは避ける。

6 腸管免疫は全体の70%から80&を占めるとされ、特に小腸のバイエル板にリンパ球が集中する。「腸管造血説」があるくらい腸は重要な存在である。

7 特に乳酸菌やビフィズス菌、いわゆる善玉菌を常に一定量確保して腸内環境よくして酵素や免疫細胞の働きを円滑にしなければならない、

8 昔から「お腹を冷やすな」といわれるが、低体温は消化器系の働きを妨げる。

消化器系で生産された、生命維持活動に必要な栄養素は、循環器系で体内の隅々まで運ばれる。

血液の量もさることながら、問題は血液の質である。東洋医学では「万病一元、血液の汚れから生

ず」という。「血液の汚れ」とは「血液中に老廃物が多くなったり、たんぱく、脂肪、糖などの栄養

物質が多くなりすぎたり、少なくなったりすること」をいう。この汚れた血液が、人体の種々の細

胞、器官、臓器に四六時中接すると、そうした器官、臓器は障害されてくる。これが病気である。

血液を汚す原因は

1 食べすぎ 「腹八分目」 高齢者は「腹七文目」 とくに、肉、卵、牛乳などの高たんぱく、高脂肪の欧米食や、精白米、白パン、白砂糖の「三白」などは控える(酵素の乱用)

消化器系のリズム・時間帯 朝は排泄、昼は消化・吸収、夜は休息 とくに夜遅くの過食は危険(心不全を発症することもある)

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2 運動不足 体温が低下、たんぱく質等の燃焼や尿酸等の老廃物の排泄が悪くなる。

3 ストレス 血圧が上昇、血管が収縮、そして体温が低下し、老廃物がたまる。血糖も増加。血栓も。

4 冷え 糖などの栄養物質の燃焼や老廃物の排泄が妨げられる。

5 環境汚染物質 自動車の排ガス、工場のばい煙、食品の残留農薬や添加物

これらが重なって血液を汚し、病気の原因をつくる。

人体は、「血液の汚れ」に対して、種々の「反応」をし、血液を浄化し

て、健康になろうとする。その反応として

1 嘔吐、下痢

2 発信

3 炎症

4 動脈硬化、高血圧、出血、血栓

5 がん がん腫瘍からがん毒素が排出されている。活性酸素を放出して、体内の老廃物や有毒物

を燃焼している。「がんは血液の汚れの浄化装置である」という説がある。

以上の「反応」は「血液の汚れ」が原因で、それを浄化しようとする「反応」であるから、その原因を取り除かなければ収まらない。たとえば風邪を引いたとき対症療法で無理に解熱させると却って治癒を遅らせることもある。最近は風邪による発熱に解熱剤を処方しない医師が増えている。

「血液の汚れ」を防ぐには

1 食べ過ぎない 特に高たんぱく、高脂肪の食品は要注意

2 適度の運動をする ウオーキングを日課にする スクワットなどの筋肉運動も

3 ストレスを減らす 呼吸も動作も「ゆっくり」、気持ちは「ゆったり」、いつでも表情は「にっこり」

4 基礎体温を上げる (健康づくりの基礎)

-1 毎日、体温を測る 36.5度が標準

-2 体を冷やさない 冷房や冷たい飲み物・食べ物に注意。ときにはカイロなどを使用

―3 生姜など体温を上げる食材を摂る

-4 筋肉運動を励行する

―5 入浴、サウナ、温熱療法

5 残留農薬、食品添加物に要注意 飲料水は水道水でなく安全なミネラルウオーターなどを常用すべき

自律神経系以外に、末梢神経系も中枢神経系も体の各部と密接に関連し、どこかに故障が生ずれば他に波及し心身の不調をきたすことになる。

たとえば、背骨に歪みができ心臓につながっている脊髄神経が圧迫されると不整脈が生じ、心臓病に発展する。

また、口、手の指などの運動不足は、大脳の運動野や小脳の血流が滞り認知症を発症させる。

なお、一般によく認識されていないが、歯の異常が心身に各種の不調を招くことになる。歯周病は殆どすべての病気に関わりがあり、噛み合わせが悪ければ、うつ病、アレルギー、腰痛、肩こり、不眠症の原因となる。

あるいは、生活習慣、すなわち脳の思考習慣や体の行動習慣が偏ると、それに対応する臓器や器官に支障が生じる。これを「部位性特異性」という。

たとえば、動脈硬化は食生活も大事であるが、動脈に持続的な緊張をもたらす最大要因は「プレッシャー」という心理状態。ストイックな生き方、我慢強い人がなりやすい。

また、独断専行の人は心臓病にかかりやすい。

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このほか、悩み事ばかりを抱え込んでいると脳腫瘍、ジョギングや縄跳びを過度に行うと多発性骨髄腫、重い荷物を背負ったり、たち仕事が持続すると骨髄性白血病を発症しやすくなるといわれる。

目に見えないが、経絡やツボのシステムがあり、特定のツボに鍼を打つと、痛みを感じなくなる。この原理を応用し、統合医療を実践している歯科医では、低周波を手のツボに当て歯の治療を行っている。このほか、経絡系は、まだ十分には解明されていないが、人体情報システムの中で重要な役割を果たしている。

皮膚の触覚は、直接的に脳につながっているが、手が熱いものに触れて、大脳を経由しないで、反射的に手を離す動作と大脳へ情報を伝達して行う行動がある。

また、皮膚は超音波や光を知覚し、カルシューム振動で情報の受発信をしている。さらに、まだ十分に解明されていないが、「気」の受発信も皮膚を介して行われている。

末梢神経系は、自律神経系と体性神経系があり、体性神経は、意識下での運動(随意運動)と感覚を担っており、感覚神経と運動神経がある。これらの機能は「動物機能」と呼ばれる。

視覚、聴覚、味覚、臭覚には「快」と「不快」があり、「快」の信号は大脳を活性化し、心身の諸システムにも活性化の好影響を与える。脳も、その他のシステムも快感を好み、求める「走快性」がある。

運動神経によって筋肉が働き、四肢を動かしたり姿勢を正したりするが、筋肉には多くの生理作用がある。

1 免疫力の促進 発汗して体温が上昇、約1度Cの上昇で、一般的に免疫力は5~6倍に増強する。

2 心臓・循環器の働きを助ける。筋肉繊維が収縮・弛緩をし、筋肉内を走る血管が並行して収縮・弛緩。この「乳しぼり効果」が心臓の働きを助け、また血圧を下げる。

3 骨を強くし、骨粗しょう症を防ぐ。骨への血流もよくなる。

4 記憶力の増強、認知症予防 脳の記憶中枢である海馬の領域の血行をよくし、記憶力増強、認知症予防に役立つ。

5 糖尿病の予防、改善 筋肉細胞内への血糖の吸収・消費が高まる。

6 基礎代謝を上げる 血液中の糖や脂肪の燃焼が促進され、高脂血症、高血糖、メタボの予防、改善に寄与

7 うつ気分をよくする 筋肉細胞からテストステロン(男性ホルモン、女性は1/10)の産生分泌が高まり、自信がわき、うつが改善される。

このほか、筋肉を使うことで、加齢によって分泌量が減っていく、成長ホルモンやアドレナリン、性ホルモンが分泌されることも分かっている。成長ホルモンやアドレナリンは脂肪を分解し、若々しさを維持する効果が、性ホルモンには骨粗しょう症を予防する効果があり、老化の速度を遅らせるアンチエイジング効果も期待される。

以上のように、人体の各システムは神経系を中心に相互に関連し、連携している。各臓器、器官、細胞も、自立して活動していると同時に相互に関連し、連携している。したがって、健康を守る「ホメオスタシス」(恒常性)を保持するには、局部的な部品を正すだけの発想でなく、いかに全体の有機的システムを正常に稼動させるかという、統合的な発想が必要である。

第2 健康はバランス 病気はアンバランスから

1 恒常性(ホメオスタシス)

人体の各システムは恒常性(ホメオスタシス)保持のため常に稼動している。体温、血液の量と質、

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白血球の種類と量、ホルモンの種類と量などが正常に保たれていれば健康を維持できる。何かの原因で、

これらのバランスが崩れると臓器、器官、細胞に機能障害をきたし、このため、アンバランスを回復し

ようと体が各種の反応をする、その反応が病気の症状として現れる。したがって、病気を治すには、症

状が重ければ一時的な対症療法も必要とはなるが、根本的には原因療法として、そのアンバランスの元

を正さなければならない。 そのアンバランスを正すには、やはり人体が心身ともに有機的に一体であ

ることから、局部的でなく全体的な発想が必要である。 例えていえば、人体は「健康(恒常性)を生

産する工場」である。その工場を円滑に稼動させるには、どうしたらよいか、ということである。それには、おおむね「五つの原理」がある。

2 「健康生産工場」(五つの原理)

1「システムの円滑な稼動」 有益な材料を使って、加工し、健康という製品を作り出す工場システムが支障なく作動していること。人体では、神経系を初め呼吸器系、消化器系、循環器系、泌尿器系などが円滑に循環すること。(好循環の保持)  基本的には十分な酸素があり、体温を適正に保ち、血流を妨げないことが必要である。具体的には 腹式呼吸と採り入れ、深い呼吸ができるようにすること。体を冷やさない、冷たい飲食物は避ける、体が温まる飲食物を摂る、運動をし、筋肉を鍛えて体温を上げる。 血流を妨げる骨の歪み、筋肉のこりをなくす。 ストレスを減らす。ストレスで血管が収縮する。

2「有益物質(材料)の補給」 「医食同源」といわれるように、「好循環」システムに乗せる有益物質を補給し、有害物質は取り入れないこと。 炭水化物、脂質、たんぱく質のほかにビタミンとミネラ

ル、それに良質の水と酵素は必須である。しかし、必要量を超えた過剰な摂取は有害となる。消化酵素

の働きに限界があり、「血液の汚れ」を生じる。したがって、年齢を重ねるほどに小食がのぞましい。「腹

八分目」、さらに「腹七文目」。ただし、ビタミンやミネラルは、多くの種類があり、そのうちの一つが

不足すると障害を生じる。マルチ・ビタミン、マルチ・ミネラルのサプリメントで補うことも有効であ

る。 また、体内酵素には限界があり、生卵、生の肉や野菜・果物、そして漬物など発酵食品を摂るこ

とも必要。さらに腸内の善玉菌を増やして腸内環境をよくするには、食物繊維、オリゴ糖、漬物などの発酵食品を摂るといい。

「グルタミン」は腸管免疫を高める。これは生魚、生肉、生卵、発芽大麦に多く含まれ、リンパ球の集まる小腸の最大のエネルギー源となる。

ウイルスの防御には、サプリメントとして「ウイルス抑制因子活性食品」がある。漢方生薬から成分を抽出したもので、インターフェロンの産生を促す。抑制するウイルスの種類を問わない。

がんの治療のためには「免疫ミックス注射」がある。免疫を上げるホルモンのインターロイキンー2、インターフェロン、βグルカンの三種類混合の注射で、経口では、高濃縮アガリスクなどのきのこ系のサプリメント、その効果を確かにする有機ゲルマニウムが使われている例がある。

なお、消化器系は、朝は排泄、昼は消化・吸収、夜は休息という生理サイクルがあり、それに応じた食事を心がける。

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3「操業」 工場は、設備や機械があるだけでは稼動しない。職員が設備や機会を動かさなければ操業体勢に入れない。また一方、工場がフル稼働して営業成績が上がれば職員の士気も高まり、いよいよ営業成績もよくなる。人体も、元気だと運動ができる、と同時に運動するから元気になる、という相互作用が働く。

運動機能を支える筋肉は、男性で45%、女性で36%を占める人体最大に器官である。筋肉は「熱をつくる」ことで免疫力を上げるほかにも多くの仕事をしている。

1 血流がよくなり、心臓の働きを助け、血圧を下げる

2 骨が強くなり、骨粗しょう症を防ぐ

3 筋肉細胞のブドウ糖の取り込みが促進され、血糖値が下がる

4 脳の血流が増して、認知症を防ぐ

5 胃腸の働きが良くなり、大腸がんを防ぐ

6 神経伝達物質の分泌を促進し、うつ病の予防、改善をする

7 脂肪が減り、メタボの予防、改善となる

筋肉は、加齢とともに休息に減っていく。足腰の筋肉は30歳以降から、年に0・5~1%のスピードで落ちていく。10年で5~10%、70歳になる頃には、20歳代に比べて、約3分の2にまで、あるいは約半分にまで減ってしまう。やがては「ロコモ」(ロコモティブシンドローム)となる。「ロコモ」とは、筋肉や骨、関節などの運動器が衰え、寝てきりなどの介護が必要な常態になってしまうこと、または、そのリスクが高い状態のことをいう。

加齢の影響を最も受けやすく、60歳以降、とくに減少が心配されるのは、「足腰や体幹の筋肉」で、分りやすくいえば、太もも、お腹、背中、お尻の筋肉のこと。これらの筋肉は、立ったり歩いたりする際に、体を支えバランスを保つという重要な役割を担っている。そのため、足腰や体幹の筋肉が低下すると、ちょっとした段差でつまづいたり、足を滑らせたりして、転倒する危険性が急激に高くなります。

60歳以降は、身体的な個人差が大きく拡大する。個人差に応じて運動をする。

ウオーキングは、体温を上げ、1週間に4回、1回に45分以上歩くと、3ヶ月で血管が若返るといわれる。 しかし、ウオーキングは有酸素運動で、ずっと平坦なところを、ゆっくりと一定のペースで歩く場合は、筋肉を鍛える効果はあまり期待できない。脂肪を燃焼したり、心配機能を高めたりする効果はもちろんありますが、筋肉を刺激するまでには至らない。

ところが、ウオーキングでも歩き方を工夫すれば、筋肉を鍛える効果を生み出すことができます。たとえば、アップダウンがあるような場所でウオーキングを行えば、筋肉にプラスアルファの刺激を与えることができる。さらに歩くスピードに強弱をつけることでも、筋肉を鍛えることができる。

「スロートレーニング(スロトレ)」なら、軽い負荷で、効率よく筋肉を鍛えることができる。大切なのは、「ゆっくりと動作を行うことで、筋肉を持続的に緊張させ、筋肉の内部の血流を制限する」ということ。

実際に、スロトレのスクワットを例に挙げると、スクワットとは、立ったり、しゃがんだりを繰り返すことによって、太ももやお尻の筋肉を鍛える運動であるが、スロトレのスクワットでは、しゃがむときには、膝を伸ばしきらず、お尻を深く落とした状態を保ち、一方、立ち上がるとこには、膝を伸ばしきらず中腰のような状態を保つ。つまり、「しゃがみきらない、立ち上がりきらない」ことで、ずっと筋肉に力が入った状態を保つのです。この動作のときに、正しい呼吸法を行うと、より効果を高める。

「しゃがむ」や「下ろす」動作のとき、息を吸う。

「立ち上がる」や「持ち上げる」動作のとき、息を吐く。

「スロトレ」は起床直後、食事直後、就寝直前は避け、できれば午前中に行うと、分泌された成長ホルモンの代謝効果が持続し、脂肪を分解する。

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4「休憩と修理」 工場は、機械・設備も職員も「休憩時間」をとらないと支障がでてくる。人体も同様で、特に、睡眠時間をとることが不可欠である。特に睡眠効果の高い、質のよい睡眠をとるには、午後10時から午前2時までの時間帯に寝ていることが大切だといわれる。

睡眠にはメラトニンというホルモンが深く関わっているが、昼間に太陽に当たることで夜間にメラトニンが分泌される。米国ではメラトニンがサプリメントとしてスーパーでも売られているという。

工場の休憩時間と同じく、人体も、睡眠時間の間、臓器、器官、細胞の各レベルで新陳代謝が盛んに行われ、故障箇所の修復も行われる。このため必要な有益物質の供給は欠かせないが、とくにHSP(ヒートショックプロテイン)(熱ショックたんぱく質)は、傷ついた部分を修復する万能なたんぱく質で、HSPを増やすには、体を温めることがいちばん、少し熱めの風呂に入ると効果がある。その効果は入浴の翌日から3日後がピークで、その後は減退していく。

HSPは、身体的ストレスでも増えるので、筋肉運動も効果がある。

また、人体の組織は活性酸素により破壊されるので、活性酸素が発生しにくいような生活を心がける必要がある。ストレスを避ける、食事に気を付ける、過激な運動をしないこと。同時に活性酸素を打ち消す抗酸化作用のある飲食物を摂ること。赤身の魚、野菜や果物、ビタミンCなど、サプリメントも多いが最も強力で無害なものは水素のサプリメント。

5「生産プログラム」 工場生産は、どの工場でも一定の生産計画に従って行われる。設備・機械も、コンピュータのプログラムによって稼動する。人体も脳に集結した意識的・無意識的な情報がプログラミングされて人体をコントロールするソフトウエアができ、人体の各部は、あたかも「クラウド」のように共通のソフトウエアとして利用しているとイメージできる。

人体の細胞の中のたんぱく質は約3ヶ月ですべて入れ替わり、肝臓細胞の寿命は150日程度、胃や腸の内壁細胞はおよそ5日間で入れ替わるというように、人体は1年間にほとんど入れ替わってしまう。どんな病気でも1年間のうちに治るチャンスが来るとも言える。問題は、その入れ替わりの構図、プログラムである。それが「クラウド」のパターンである。病気を是認するか、病気を治そうとするか、パターンの違いで入れ替わりの構図も変わってくる。

まず、体のアンバランスを正すには心のアンバランスを正さなくてはならない。

*  「かたよらない心、こだわらない心、とらわれない心」(高田好胤)

*  「(自分を)責めない、(人と)比べない、(悪いことは)思い出さない」(高田明和)

「クラウド」のパターンを決めるに当たって中心的な役割を果たしているのは脳ではないかと考えられる。脳が楽観的か、悲観的か、あるいは前向きか、後ろ向きか、などによってソフトも変わってくる。「心身一如」、心身は一体と昔からいわれているが、人体の各種アンバランスを正し、病気を治すには、この「ソフトのパターン」を変えなければいけない。「自分自身が病気を治すことを許可しなければ病気は治らない」という説は、そのことを指していると思われる。ソフトが作られる「場」(フィールド)の力学、ベクトルの方向性とその強さがソフトのパターンに大きく影響する。「物」の生産現場として「農場」や「工場」があるように、脳は、新しいソフトウエア(情報価値)の生産現場「情場」である。

脳は必ずしも理知的ではなく、むしろ情動で動くという。脳には、好ましい情動を与えることが効果的である。「好き・嫌い」が激しく、「快感」を好む「走快性」がある。

脳に直結している皮膚に「マッサージ療法」を施す、視覚を通じ「イメージ療法」、臭覚を通じ「アロマテラピー」、聴覚を通じ「音楽療法」、味覚を通じ「快食療法」を実践して五感から脳を作動させ、脳の変革、ブレークスルーを求めていくこともできる。脳が喜ぶ刺激を与えて、病気を治す方向にソフトをプログラムし直せば、人体全体が、その方向で協調していくことになる。

人間は、1割が顕在意識、9割が潜在意識で動くといわれ、新しいプログラムに変えるには、顕在意識から潜在意識に常に働きかけをしなければならない。行動の一つ一つに当たって、「これは病気を治すためだよ」と、その意味付けを反復して、無意識のレベルに刻み込んでいく必要がある。でないとプログラムの革新に至らない。

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「もう諦めた」というような「諦めモード」のソフトでは、どのような治療法も効果を発揮できない。「場」のベクトルを「治る」という方向性で、「治す」という強さに変えないと、人体は治療、回復に向かわない。「病気は気の病(やまい)」ともいう。ソフトが示す人体エネルギーの方向性と力を「気」と呼んでもいい。「気」に従って人体は動いている。その枠から外れることはない。

「気」には「内気功」と「外気功」があるように、体内から発するものと、外から、他の人間から、あるいは自然から、さらには宇宙から導入されるものがある。

また、「気」の発生や導入は自律神経が副交感神経優位の時に活発になる。そのため特に呼吸法が重要である。鼻から深く吸い、長く吐く腹式呼吸を会得することである。そして動作は「ゆっくり」、気持ちは「ゆったり」、表情は「にっこり」の三つの「り」が副交感神経優位の鍵となる。

また、身体的には、上下の歯を離す、手の親指に力を入れない、お腹の重心を臍下に置く、などで交感神経の過緊張を解くことができる。

脳のソフトを切り替えるには、呪文、マントラ、真言、念仏があるように、短い好きな言葉を「つぶやき」のように繰り返す、また、熱心に「祈り」を捧げると無意識のレベルでエネルギーが充満して、ある日、突然「法悦」状態になり人が変わってしまう、病気が完治してしまうこともある。「ルルドの泉」のような宗教的体験に多い。人はこれを「奇跡」と呼んでいる。

第3 「人体情報システム」(五則)

1 「好循環の保持」

2 「医食同源」

3 「運動」

4 「睡眠」

5 「心身一如」

第4 「自分流の生活の心得」(10か条)

何か一つサプリメントを飲んでいるとか、ジョギングをしているだけでは健康は守れない。健康づくり全体の仕組みを理解した上で、健康法それぞれの意味を心や体に言い聞かせながら、相乗効果の出る総合的な健康法を実践する必要がある。

*  西洋医学でも、「プラシーボ効果」(偽薬効果)(小麦粉でも薬と思って飲むと、それなりの効果がある)を認めているが、意識が体に大きく影響を与える。何気なく行動するよりも、意識的に意味づけ(何のためにやっているのか)しながら行動したほうが高い効果が出る。

*  受け売りの「心得」では、長続きしないし、効果も上がらない。自分で納得したことを、欲張らず一つからでも、ともかく始めることがコツだといわれる。自分なりに納得して「10か条」、あるいは「5か条」を作り実践するとよい。

第1条 毎日、体温を計る。低体温にならないよう心がける。

第2条    気がついたとき腹式呼吸を行う。

第3条    寝る前に風呂で体を温める。時には熱い湯に入る。

第4条    「腹六文目」、とくに朝食は軽く、夕食は食べ過ぎない。

第5条 ビタミン、ミネラル、酵素を意識して摂る。食事、ときにはサプリメントで。総合ビタミン・ミネラル錠、コーキューテン

第6条   腸内環境をよくする。善玉菌を増やすように気をつける。(乳酸菌、ビフィズス菌)(オリゴ糖)

第7条

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1日1回45分以上散歩する。時々は速足で。その前後にスクワット運動をする。

第8条    夜は11時までには寝て、午前5時前後に起床、朝日を浴びる。

第9条    脳が喜ぶことをする。香り、音楽、味など。ストレスで脳を疲労させない。

第10条 「ゆっくり、ゆったり、にっこり」を心がけ、常に健康で幸せな自分をイメージする。

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