市民本位の健康医療に向けて

第45回(12月)定例会報告(メモ)

2011年12月26日 by KISK事務局  


2011年の最後の第45回定例会は、12月20日、初めて使用する赤坂ツインタワーのTKPカンファレンスセンターにて開催。今回は、前半は、代表の研究の成果の発表「病気に克つ・自然治癒力と自己治癒力」と、少し健康医療と離れ、政治経済に注目した二つの講演、衆議院議員古賀一成様の「これからの政治」と格付投資情報センター会長久保庭啓一郎様の「日本の政治と経済を格付けする」をお聞きし、後半を、恒例の交流、懇親会として和やかな時間を過ごしました。

中間報告:梶原代表

11月の定例会の復習、今回12月の先生と内容の紹介の後、来年2012年の予定として、補完代替医療あるいは統合医療のシリーズを予定しているとの話がありました。1月の第1回は上馬塲和夫先生のアーユルヴェーダのお話という紹介がありました。

また、市民・患者自衛策としては、患者向けの情報サービスステーション(IPステーション)をインターネットのフェースブック上に立ち上げるプランの紹介がありました。患者・市民が助け合いの精神で、共有の財産を築いて行こうと言う呼びかけがありました。

もう一つ、認知症対策の一環として進めてきた脳の働きを表す「心身バランス計」が完成したと言う報告がありました。

「病気に克つ・自然治癒力と自己治癒力」:梶原代表

8月には「頭の健康法」、10月の「がんの予防と治療」についで、市民学の第3弾として、自然治癒力と自己治癒力について多くの著書の研究を基にまとめた報告がありました。「病気は医者が治すのではなく、患者自身が治すのだ」と言うヒポクラテスの言葉に始まり、西洋医学は万能ではないこと、保険診療以外にも多くの有効な治療法があること、患者市民の体験情報から学ぶ大切さを訴え、患者が自覚して自然治癒力や自己治癒力を発揮しなければ病気は治らないことがこの市民学の大きなテーマとの報告。

病気になるかならないかは「自然の摂理」、「人体メカニズム」、「人間集団」、「本来の自己」、「宇宙の原理」の5つの原則に左右され、反逆すれば発病。同調すれば治癒。

報告は最後に「病気は自分で治す十か条」。1)呼吸法・深い腹式呼吸、2)入浴・食事による適性体温維持、3)血液・リンパの循環をよくする、4)気の巡りをよくする<気功・鍼灸・指圧など>、5)適度な運動を生活習慣に、 6)睡眠・休養、 7)バランスの良い食事と塩分・糖分・獣肉・タバコ・アルコールを抑えること、8)不要な物質排除の機能が十分働くよう、いい水、繊維質、酵素をとる、9)絶対に治ると言う信念、10)宇宙に通じていることの自覚、パワースポットに座る等、の十か条。

今回の報告に使われた資料「自然治癒力と自己治癒力(未定稿)」、『「情報パッチワーク」で綴る「モザイク市民学」』、およびそれらの主な参考書リストは、当会HP、http://www.kisk.jp に掲載。

「これからの政治」:古賀一成 様 衆議院東日本大震災復興特別委員長

梶原代表から福岡県選出衆議院7期21年で、経済企画政務次官、衆議院科学技術特別委員長、国土交通委員長、民主党両院議員総会会長等ご歴任の政策通・行動派とのご紹介で、元気一杯の講師の講演が始まりました。政治の真実の動きを話す。東日本大震災復興特別委員長をしているが、社会では政治が混乱し低迷しているとの指摘や政治の氣の病との指摘もある。どこが問題なのか。私は建設省に昭和46年入省し東海地震関連の静岡県警の課長に出向し54年32歳で建設省道路局に帰り上司の梶原代表や鈴木さんに指導を受けた。当時は旧藩でいえば全国100ブロックの道路インフラ事業と3.7兆円の道路財源が大問題で、国民の皆様への「広報」が一番大切とされ正面から取組み成果をあげた。建設省企画官から政界に転じ7期21年。東日本復興では明後日現地に入り、多くの団体や専門家の意見をきく。生活や企業や職場は、教育は、等々政治のリーダーシップが求められている。野田総理は、野党や党内意見も良くきき、我慢しながら頑張っている。臨時国会では第三次補正、正月からは第四次補正、新年度予算や関連法案等と対応は大変。経験と提案が大切で、管総理は自衛隊に原発への放水をさせたが、うまく的中しない場合もあり、私は氷を袋に入れて投下したらとの提案をした。カナダや米国の山火事の消化活動の映像をみた経験を生かしたもの。また発電所の西側に大きな農業用溜池があり各市町村の消防のホースを繋いで固定して送水したらと提案をし、松下経済産業副大臣に感謝された。経験がないと政策や計画のイメージが湧かない。情報と知恵を集めて、連携し、早く総合化し、実施するのが政治のリーダーシップだ。今度の第三次補正で「病院船」調査費が3000万円計上された。10年以上も議論されていたが、私はIS・Intelligent Shipとし、日本の全ての知恵と行動力を総合化することを考えた。自衛隊、防衛医大、消防庁、大学、国土交通省や公共団体が、全てのブロックに緊急活用可能な衛生部隊システムを設置し、緊急の時は参集し、無線ヘリ利用で駆けつける。東北ならば東北大医学部や現地自衛隊等で組織し、第二部隊は九州で九大や自衛隊で組織し必要なら飛行機で移動。現地情報の収集は衛星のほか、無人ヘリも活用する。官邸や各省の情報とも連絡できる。島国日本の有利性を活用し、どんな災害が起こっても急派できる。外国の災害や復旧支援や環境保護支援にも将来活用できる。知恵と情報と連携と総合化をしっかりと支える指揮命令システムの構築が大切。この予算はその絶大なる実験の場でもある。国土交通委員長のとき馬淵国交大臣と懇談した。私は、大臣が問題意識を持ち、自分も意見があるが、明朝までに対案のABCの三案を出すよう命じれば官僚は喜んで徹夜して原案を持ち込むと思う。それを見てAとBの間にもう一つあるだろうと指示すれば成案に近いものが出来上がるとアドバイスしたことがある。政策立案には経験と情報が大切。役人を使いこなし民間の知恵を活用することが重要だ。経験と情報を基にした発想がないと政治は動かない。八ッ場ダムもこのような中で解決されると思う。現在議員会館には市町村関係の方は殆ど訪れない。私の部屋には毎日100~40人程度の訪問者があるが、一人か二人の議員もいる。昔に比べ情報量は全く減っている。政治家の動きも鈍く、官僚も少し遠慮がち。総合力とインテリジェンスが政治家に求められている。

先般、25年前の4月にチェルノブイリ原発事故を起こしたウクライナの現地を訪れた。これは原子炉担当新人の水量測定のミスがきっかけだが、当初ソ連は情報を公開せず、スウェーデンでの放射能計測から世界が知り、5月にはソ連も対応策を実施し、発電所に鉄板を乗せセメントで固めた、その下には汚染された水が滞留し、引き続いての再対応と除染が必要とされた。日本の対策も総合的な対策が必要。先日福島の郡山市を訪問したが、そこには大戦後に九州の久留米からの入植者が開墾した地域があった。東北の方も例えば九州で減反農地を活用した農業で当面5年ぐらい住むのも一つかとも思うがそのような意見はあがっていない。日本は多くのの観光資源を有し、また新たな観光資源を開発できる歴史や資源や自然がある素晴らしい国である。北海道知事の高橋さんは北海道の宝探しを道民全体で頑張りたいとされる。私がカジノ議連の会長を担わされていることに先日某政党から批難があったが日本全国での宝探しのなかで、中国の大金持ちを相手にしたカジノも考え方の一つとしてはありうると思う。

私はモンゴル議員連盟の経験が長く事務局長もやり、現在は会長をやっている。モンゴルの公共インフラは日本のODAが7割寄与したといわれ、国民は日本のファンが多く現大統領もそうである。歴史的にはロシアや中国よりも日本に親近感があるようだ。しかし現在ODAは中国が53%、日本は3%となっており、日本外交の劣化と思う。モンゴルも多くの炭鉱や金属があり前向きに対応すべき国の一つと思う。と幅広い政治の行動力とリーダーシップの神髄の力の籠ったお話に会場からの拍手喝采。

「日本の経済と政治を格付けする」:久保庭啓一郎 様

格付投資情報センター代表取締役会長

梶原代表から日本経済新聞で自民党キャップや官邸長、政治部長、大阪本社編集局長、常務名古屋支社代表、専務取締役を経験され、07年系列の現在の格付け会社の社長に就任された。経済と政治の評価の権威とのご紹介で、鋭い分析の講演が始まりました。公式意見外は私見。

信用格付けとは債務の履行可能性の確率の問題。米国の西部開拓史時代、鉄道建設事業への投資の安全性の評価が事業化の」きっかけです。ムーディーズ(MDY)は格付けの符号化を始めた会社であり、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は出版社で情報を売る立場だった。民間主導で始まり投資する側が評価情報に料金を支払う形で出発した。これが1930年代に連邦準備制度に組み込まれ、「評価をされる側」が料金を負担する制度に変化した。1980年代の日米貿易摩擦の中で米国は日本の経済システムそのものを問題にしたが、そのひとつとして社債市場の整備が取り上げられ、結果として、米国は日本に格付会社設立を求めた。MDYとS&Pが日本に進出する条件整備とも言える。そこで大蔵省、金融、証券界が中心となって国内に3つの格付け会社を設立した。そのひとつが日本経済新聞社が社内に作っていた勉強会を母体とする会社で、これが後に日本興行銀行系の格付会社と合体したのが現在の私どもの会社です。

(次いで配布資料し日本の社債市場での海外系3社、国内系2社の市場シェアをご説明。)格付社数で当社R&Iは63.8%、JCRは58.9%、これに対し海外系S&Pは17.7%、MDYは19.8%、Fitchは4.2%。世界全体では海外系が圧勝しているが、国内系の格付会社が頑張っている世界で唯一の市場が日本です。国産会社は高く我社も頑張っている。レーガン時代からアメリカは金融大国の道を歩み、サッチャーのイギリスも1990年代半ばには産業従事者を金融界の雇用者が上回る経済となった。

日本はいま金融は安定している。企業も強い。現在の円高水準でも57%の企業は前年比で業績を改善している。原発の稼動が制限され、火力発電のためLNG輸入が急増しているが、これを円高でまかなっているともいえる。円高が必ずしも足かせにならないところに来ているのが日本経済の現状だ。

海外では格付はかなり政治的な動きも伴う世界とも見える。トヨタの格付が終身雇用制を理由に突然下げられたこともかつて話題になった。東京都の格付がオリンピック開催地決定の会議の1ヶ月ほど前になって下げられたことも記憶に新しい。我々は真面目に、愚直に格付け取り組んでいる。

日本の経済構造も変化しつつある。貿易収支の苦戦をよそに、所得収支はこの五年間増え続けている。金融立国を宣言してもおかしくないほどの経済構造の変化である。国全体が変化しているが、企業も大きな流れに即応して変身し、社名と仕事が一致しなくなってきてものも多い。(グンゼ、トヨタ、キリンビール、キャノン、積水化学、旭化成等の実例を挙げつつ)社名からは想像も付かない分野で収益を上げている企業は多い。

日本で遅れているのは官の世界と政界。もはや政治はリセットしないといけない。現在の政治資金規正法、政党交付金制度、小選挙区制度の3つが枠組みとなって作り出した今日の政治に人材が入らない、入っても育たない、決断が出来ない、決断を推進できないなどの構造的な欠陥があることがはっきりした。制度の枠組みを作り直す、つまりリセットしないことにはどうにもならない。遠回りのようだが仕方がない。

そういう中で、わがR&I社は11月30日「日本国債の最高ランクAAAは政府債務の負担という面で維持はそろそろ限界にきている」との公式見解を公表。最大の問題点として政策推進力への懸念を表明した。政府債務1000兆円を前にして2010年代半ばに消費税を10%に、2020年には基礎収支バランスを改善するとしているが、民主党政権のみならず政治全体の問題解決力に疑念を持たざるを得ない。(梶原代表の質問に答え)経済は世界の流れに沿って変身しており、企業の頑張りに期待できる。日本企業は強い。政治はリセットしなければどうにもならない。それは先ほどの小選挙区制、政党交付金、政治資金規正法を改正することが必要です。(12月末に国会議員が5人集まれば政党交付金が出るので毎年暮れになると政策論議が政局論議になってしまうような)今の制度では、政治、官僚に多くを期待できない状態が続くと思います。(政治と経済についての幅広い力強いお話に拍手喝采が続きました。)[補注:翌12月21日、R&Iは日本国債の格付を21ランクの最上階のAAAから1ランク下のAA+とした。同社の国債の評価はAAAが米英独仏の国債、AA+は日本やベルギー]

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