市民本位の健康医療に向けて

第44回(11月)定例会報告(メモ)

2011年11月18日 by KISK事務局  


11月定例会の報告(メモ)

第44回、11月の定例会は15日、日本財団の会議室にて開催。代表の中間報告の他、ペットの医療の権威である山村穂積先生のお話、お馴染みの久野則一先生のワンポイントレッスンなどがありました。

<中間報告> 健康医療市民会議 代表 梶原 拓

いつものように「情報の共有」として、前月10月の定例会について振り返り、自身の「がんの予防と治療の市民学」を例に、会員自身の学習の成果を披露する機会を増やす予定とのお話でした。また、11月の定例会の講師のお二人の紹介と12月の講演・交流会の予定(12月20日火曜日)の紹介がありました。

また、インターネットのフェースブックに「健康医療市民会議の公開型」として全員参加の「健康医療市民倶楽部」を立ち上げ、いい病院、いいクリニック、いい薬などの情報の交換の場とし、患者・市民の共有の財産として活用するという計画を進めていると報告がありました。会員の黒川様には編集を担当して頂くとのことですが、その他の会員の方々にも投稿等のご協力を頂きたいとのこと。(実名で登録する原則があり、すでに何人もの会員の方の名前があるようです。今回、FAX申込用紙にフェースブックに関するアンケートを載せていますので定例会不参加の方もぜひお答え下さるようお願いします。)

「講演:人と動物の絆、豊かな心のふれあいと動物医療」

株式会社ホズミ 代表取締役 山村 穂積 先生

先生はパソコンはかなりお得意のようで、パワーポイントもかなり動きのある楽しいものでした。

まず自己紹介があり、まだ当時珍しかった頃獣医になって、1968年に開業し、以来40年以上ペットの医療に従事。4年前に経営されているPet Clinic アニホスの院長を退任され、経営に専心されている。学術的な講演は多いが、一般飼い主向けの講演はめずらしいとのことでした。

以下、お話の要点です。

・犬は癒しの役目をもつとして飼われているが、人間と犬との付き合いは、1万~1万2千年前から犬が人に飼育され始めたことに始まる。自分より強いものにはリーダーとして服従する。

・アニマルセラピーとは、動物と触れ合うことで人の心の孤独やストレスを癒やすこと。リハビリなど治療補助にも。

・人にもペットにも言える健康を維持するための3大要素は、環境、運動、食事である。

・異種族との共同生活だから相互コミュニケーションはとても大切。そのためには、日常の観察、性格や行動パターンの認識、正しい知識が3つの大きな要素。子犬は3週から12週にかけて社会化期となるが、この時期にいろいろ経験させ、接触することが重要。この時期に経験のないことに後で接触した場合に誤ったしつけをすると問題行動を起こす可能性が出てくる。

・ドッグフードは1960年ごろイギリス在住が開発された。当時は粗悪な餌としてのドッグフード、現在は栄養学の発達を受け、食事としての良質なフードになっている。

・免疫力を高める食事が重要。

・人と異なり、犬は殆ど噛まないので胃から消化が始まる。

・犬は足の裏でしか汗をかかない。したがってナトリウムの排泄が少ないので塩分は自然のものだけで十分。

・犬は消化のよいものがよい。総合栄養食で十分。一般食はおかずと考え、少ししか与えないこと。

・避けるべき食べ物は、ネギ(すき焼きの残りなど厳禁)、チョコレート(極端な場合死ぬことも)、アボカド、レーズン、キシリトール、観葉植物。風邪薬もだめ。骨付きの鶏の肉。

・犬と猫の違い・・・犬は雑食、猫は肉食。犬がキャットフードばかり食べると栄養過多。猫がドッグフードばかり食べるとタウリン不足になる。

・動物は外敵から身を守るため病気のサインが出るのが遅いし、代謝率が人間の5~10倍高い。体重、活発さ、食欲、口の中、尿、ウンチ、皮膚の状態などを注意しよう。

・動物保険はアニコム損保の「どうぶつ健保ふぁみりぃ」を推薦。

・病気予防には、ノミ寄生対策、ワクチン接種、フィラリア予防、健康診断など。

・ペットクリニック・アニホスの紹介・・・板橋・常磐台/獣医師23名他、計63数名で運営。

<質問にたいして>

・胃液を吐く―ドッグフードを柔らかく砕いて与えてみる

・小枝を飲み込んだらしい―大きいと胃の中に1年も停滞する可能性あり。様子見て以上があれば超音波とかX線で検査。

・犬の雄雌が人の男女の好みは―男女による好みはない。主従の力関係のみ。

・購入の基準―今のペットショップはクリーンになった。生体販売業の規制が厳しくなった。まずは元気、からかってすぐやってくる子がよい。おとなしいのはダメ。小さいの(ティーカッププードルなど)は弱い。

・去勢―子犬を作らないことが確定していれば、2歳以内に避妊手術を勧める。病気の予防になる。

・常に餌を欲しがる―一回の量を増やして見るとか、人をきめるとか。

・猫が弟猫、妹猫がいなくなって怒った―そういうことはある。難しい。

ペットも家族。健康維持には人間並みになかなかの努力がいることは間違いなさそうです。

ドクターのワンポイントレッスン「秋から冬にかけての健康アドバイス」

久野マインズタワークリニック院長 久野則一先生

「天高く馬肥ゆる秋」というのは冬支度。体に脂肪を溜めて冬に備えることだが、これは言わば飢餓の時代の名残。現代の飽食の時代にはどうあるべきか。

<カロリーカット>サルを使った実験で、カロリー制限しないサルとカロリー30%カットしたサルの30年後の健康状態を比較すると、明ら

かにカロリーカットしたサルの方が健康だった。アメリカでは人でもテストグループが出来ており、カロリー摂取と寿命、健康の相関の追跡調査をしているようだ。

<尿酸値>血中の尿酸値が上がると痛風や腎機能障害を招くので尿酸値には注意。尿酸値が高くなる理由には、尿酸過剰生成型と尿酸排出抑制型がある。尿酸値を下げるには、前者はザイロック、後者はユリノームという薬を使うのだが、型まで調べないで投与されるケースが多く、排出型が圧倒的に多いのに現在は同じ程度に使われている。尿酸は活性酸素対策の一つだが、尿酸が尿中に出ず血中に残るのはサビがあると言うこと。

<油ものは野菜と一緒に>植物性の油はさびやすい。酸化した油はさびのようなもの。とんかつ(豚肉のラード自体はさびにくいが)はキャベツと、焼き魚、特に干物は大根おろしと、刺身はつまと一緒に食べよう。植物油でもオリーブ油はさびにくいので欧米で地中海料理の流行る理由では。

<朝すぐ歯磨き>寝ている間に口腔に繁殖する細菌が酵素を出し、それが体内に入るとインフルエンザウィルスなどに感染しやすくなる。朝起きたらすぐに歯磨きする。喘息の発作も予防する。

<主食は何にすべきか>人類38億年の歴史があり、時代の変遷とともに食べ物についても多様である。穀物を食べ始めたのは1万円前、稲作は8000年前からと人類史から見ればごく最近のこと。自分は雑穀菜食を勧めてきたが必ずしも正しいとは言えない。38億年の間には遺伝子も多様化しており、個人差を考えよう。主食を何にすべきかについては正直言って今答をもっていない。

<病気は必然>ある意味、病気は必然であり、いかに楽しい人生を送るかに焦点を当てた方がいいかもしれない。

MRA血管の状態を映すことの出来るMRAは随分進歩して来て、当院も近々導入するのでその準備をしている。中心は脳の血管障害の発見。静脈も映すことが出来るので、下肢静脈瘤などにも適用可能。

<みみず>みみずを原料にしたLR沫という健康食品を販売している。とても血栓を溶かす力が強いし、MRAを導入すれば直接その効果、エビデンスが見られると期待。

<カロリーカット実践>先生も今カロリーカットを実験中で、現在、朝食、昼食を抜いて、夕食だけにしている。その他、埼玉県知事選の投票率23%という低率、民主主義の停滞にチクリ。まとめとしては、やはり「ほどほどに食べましょう」。短いながらなかなか意義あるお話でした。

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