市民本位の健康医療に向けて

「市民が考える認知症対策」

2011年9月29日 by KISK事務局  


「市民が考える認知症対策」

<市民学「頭の健康法」のすすめ(未定稿)>

<「頭の健康法・実践リーダー」講座テキスト(未定稿)>

健康医療市民会議(KISK)

代表 梶原 拓

2011年8月23日第41回定例会配付資料

目  次

1 「他力」から「自力」へ  ~「市民学」を起こそう~ ・・・・ P.2

2 認知症は「生活習慣病」 ~だから予防も治療もできる~ ・・・・ P.3

3 「頭の健康法5原則」(共通項目)

~脳を活性化する体系的な発想~ ・・・・・ P.3

第1「再生脳」循環(脳機能は再生できます)  ・・・・・    P.4

第2「健脳」食(脳も栄養を求めています)       ・・・    P.5

第3「浄脳」作用(脳の解毒も必要です)         ・・・・    P.5

第4「活脳」運動(脳は体の運動で鍛えます)      ・・・・   P.5

第5「快脳」習性(脳は「不快」を避け「快」を求めます)     P.6

4 「頭の健康法10か条」(実践項目)

~自分向けの脳活性化法~ ・・・・・・ P.6

5 「脳をよくする各種の方法」(情報ボックス)

~身の回りは情報の宝庫~ ・・・・・P.7

第1「再生脳」循環      ・・・・・・・・・・・・・・・P.7

第2「健脳」食         ・・・・・・・・・・・・・・・・・P.8

第3「浄脳」作用        ・・・・・・・・・・・・・・・・・P.9

第4「活脳」運動     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.10

第5「快脳」習性      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.11

6 「認知度」の判定 ~単なる「物忘れ」か「認知症」か~ ・・・・・P.12

7 「グループ活動」の相乗効果 ~「自助」「共助」「公助」~ ・・・P.13

8 「自然治癒力」と「自己治癒力」 ~人間中心の座標軸~ ・・・・P.14

9 予防から治療へ ~「心身機能活性療法」の普及~ ・・・・・・・P.15

10 「市民学」は「市民運動」へ ~「市民政治」の実現~ ・・・・・P.16

11 副読本 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.17

(別添資料リスト)

(頭の健康法・参考書目録)(別添)

1 「他力」から「自力」へ  ~「市民学」を起こそう~

(1)「お任せ症候群」 病気の予防や治療は医療の専門家の領域で、専門家に多くを期待しなければならないが、さりとて専門家に過度に依存してはいけない。病気の予防や治療にあたっては、患者側市民が専門家の発信する基礎知識や予備知識を習得し、自らできることは実践する。そして専門家の予防や治療に協力しなければ成果が実らない。いうなれば医療は供給サイド(医師等)と需要サイド(患者側市民)との協働(コラボレーション)で成り立つものである。

にもかかわらず、特に近年、国民皆保険制度の拡充・徹底とともに何事も医者任せ・病院任せの風潮「お任せ症候群」が蔓延している。これでは病気の予防への関心は高まらないし、病気の治療でも確実な成果が期待できない。患者側市民も望むような結果を得られない。また社会的にも医療費の増大など国の医療制度が維持できなくなる。

(2)「自己責任」 そこで、我々、「健康医療市民会議」(KISK)としては、患者側市民の立場で、病気の予防や治療における自己責任を自覚して、患者側市民が健康や医療について自ら学習する「市民学」を提唱し、これを実現していきたい考えです。

「市民学」には、いろいろな概念がありますが、市民目線では「市民の、市民による、市民のための学習」と定義できます。あくまでも市民本位で、市民が自分自身で自分のために勉強しなければなりません。専門家に「お任せ」や「丸投げ」では、本当に自分や家族に役立つものが得られるかどうか疑問です。

医療ビジネスの分野では、サービスを提供する側では、治療の基本ではあるが営業的にプラスとならない「自然治癒力」を軽視しがちですし、医学の領域では専門化(タテ割り)が進み、全体(ヨコ割り)がわかる医師などは稀ですし、患者市民側でも個人個人で遺伝子はもちろん生活環境も異なり一律・一様ではありません。患者側市民が自己責任で予防や治療に参加しなければ、専門家の限界を補うことはできません。また専門家でも本当に優秀な人は柔軟な発想で「補完・代替医療」とか「統合医療」などに積極的に取り組まれていますが、中には大学を出たあと余り勉強しない人もいたり、多くの人は面子・評判・利害関係に絡まれ自由な発想や行動ができない状況に置かれています。これに反し市民は自由です。何にも捉われることなく公正に評価・判断し行動できます。それは素晴らしい「市民特権」です。市民にとって西洋医学とか東洋医学とか「垣根」はありません。「垣根」を越えて「いいもの」は「いいもの」として選択すればいいのです。これこそが正に「統合医療」でしょう。

(3)「市民が主役」 ここでいう「市民学」の組み立ては、「市民が主役」となって行う「情報の収集・選択・編集のパッチワーク」です。ここでは「発想法」(KJ法)(川喜多二郎)をベースにしています。

すなわち、

①自分自身の関心の的であるテーマを決めキーワードを一つか二つ持つこと。例えば「高齢化」「認知症」「寝たきり」など。

②キーワードに関係する原材料・情報を集める。新聞、テレビ、雑誌、単行本、自分の体験、友人・知人の体験や情報などなど。一つ一つを分けて紙切れ、ノート、手帳、カード、パソコンなどにメモして溜める。

なおインターネットのサイトには情報がありすぎて最初は選択に迷います。また、健康関係の雑誌も内容が玉石混交で、自前の情報選択の指針ができるまでは敬遠した方が賢明でしょう。

③集めた情報をまとめる。類似の関連情報をグループ化、体系的に編集。最初は「KJ法」のように個々の情報を個々のカードに書いて机上に並べると「類が類を呼び」グループ

化・体系化がやりやすくなります。図で表すと判りやすくなります。

これで自分自身の「市民学」ができあがります。「市民学」は「自分学」だす。市民自身が「自分学」の本の「編集長」でなければなりません。そして自前の「市民学」を実践しながら逐次、新しい情報を加えたり、修正したりして進化・発展させていきます。この段階では一定の指針(編集方針)もできインターネットや健康雑誌で足りない情報を選択・補完していくことができるようになります。

(4) 「実践リーダー」「市民博士」 こうした「市民学」を自主的に学ぶ市民の中から、市民が直面している課題ごとに「市民学」の「実践リーダー」が育ち、さらに、その中から、知識・経験を積んだ「市民学」の「市民博士」が生まれ、講習会などを通じ仲間や一般の市民に指導力を発揮するようになれば、より多く市民が導かれ、癒され、救われ、社会的な問題も解決されていくのではないでしょうか。「市民学」の実践リーダーや「市民博士」の養成を「養成講座」の開催、Eラーニング・サイトの開設などで進めて行きたいと企画しています。ご協力をおねがいします。

2 認知症は「生活習慣病」 ~だから予防も治療もできる~

市民学の一環として、先駆的な一例として、誰もが個人として家族として関心が高く、高齢化の進展とともに大きな社会問題になっている「認知症対策」を優先的に取り上げたい。うつ病なども対象です。

現在、国は①がん②脳卒中③急性心梗塞④糖尿病を「四大疾患」として取り上げ重点的に施策を講じていますが、これに「精神疾患」を加え「五大疾患」とするよう準備をしているようです。

精神疾患の患者は、認知症をはじめうつ病など患者数(08年)が323万人で糖尿病患者237万人、がん患者152万人を越え増加傾向にあります。

認知症について、多くの文献・資料や体験を通じ我々が自由な立場で勉強した結果、次のことがわかりました。脳卒中後遺症、うつ病、自閉症などの精神疾患も同様です。

① 認知症は「生活習慣病」で、予防できるし、治療もできる。

② そのためには脳の血流を活性化して、脳の「自然治癒力」を高めることが必要である。

③ また、脳への血流に運ばれる脳特有の栄養素を補給することも必要である。

④ さらに脳に溜まる有害物を除去する解毒(デトックス)効果のある物質を補うとよい。

⑤ 脳の血流を増やすには、計算などで脳のトレーニングをするよりは大脳などと連携の強い体の部分の運動で脳を鍛える方法が効果的である。特に口と手の指先の運動が重要。(別添2-1)(大脳皮質の運動野・体性感覚野の図解)

⑥ 脳は不快なものは受け付けない。脳にとって快いもので脳を誘導することが秘訣である。ふれあい、食事、音楽、香りなど。

3 「頭の健康法5原則」(共通項目) ~脳を活性化する体系的な発想~

脳には脳の特性がある。その特性に沿って予防や治療を行わないと効果が上がらない。脳の特性に着目して、これらを体系的に次のようにまとめました。

<脳の健康法5原則>

1 「再生脳」循環(脳機能は再生できます)

2 「健脳」食(脳も栄養を求めています)

3 「浄脳」作用(脳の解毒も必要です)

4 「活脳」運動(脳は体の運動で鍛えます)

5 「快脳」習性(脳は「不快」を避け「快」を求めます)

この原則は、「心身機能活性療法」などの実績を通じ「論より証拠」で我々自身の体験的エビデンスとして明らかになりましたが、この原則の適用により、

①    アルツハイマー病など認知症のほか、

②    脳卒中後遺症、うつ病、パーキンソン病、自閉症など脳機能障害にも共通して適用できますし、

③    自然治癒力を高めるので、その他の病気の予防や治療効果があります。

④    認知症でなくとも高齢化による「物忘れ」の改善にも、もちろん効果があります。

⑤    また、加齢で鈍くなった車の運転感覚の強化、歩行者として危険回避能力の向上、

⑥    ゴルフをはじめスポーツなど運動神経の鋭敏化、

⑦    災害や緊急時の機敏な危険回避にも有効です。

⑧    もちろん記憶力の強化などで学生も学科・学問の学習の効率化に成果が期待できます。

*満75歳以上になると、講習予備検査(認知機能検査)と高齢者講習を受けないと、運転免許の更新ができません。

講習予備検査(30分)は、記憶力・判断力に関する簡易検査を実施します。時間の見当識、手がかり再生、時計描画による検査を行います。

高齢者講習(2時間30分)は、講習予備検査の結果に基づいて個別の講習 座学(講義)、運転適性検査・指導、実車指導(乗車指導) をします。

認知症の疑いのある場合は、免許証の自主返納を求められます。

*スポーツの例としてゴルフのパッティングを挙げることができます。

パターを振って何回も練習する前に、「頭の健康法」で脳を、とりわけ平衡感覚を鍛えておけば、パターのブレもなくなりホールインの確度が高まります。(筋肉を鍛えることも大切ですが、運動の動作は常に脳がコントロールしていることを忘れてはいけません)。

第1「再生脳」循環(脳機能は再生できます)

脳は循環をよくすれば再生します。最近の研究や実証例から、スペインのノーベル賞を受賞した脳生理学者が提唱し100年間も墨守されてきた「脳は再生しない」という定説(ドグマ)は崩れました。未だにドグマを信奉している怠慢な医師・学者も一部に残ってはいますが。

脳細胞の新生やネットワークの再編成で脳機能は再生されます。体の他の部分と同様に「ホメオスタシス」(恒常性保持機能)あるいは「自然治癒力」が働きます。

「自然治癒力」を高めるには、脳の血液やリンパ液の循環をよくすることです。

そのためには、1 体温を低下させないこと

2 酸素不足にならないこと

3 睡眠不足にならないこと

4 首筋(骨・筋肉)に異常がないこと

5 食べ過ぎないこと

6 血液をサラサラに

7 自律神経のバランスをとること。

などが必要です。

1 体温を上げるには保温、加温が必要なときもありますが、運動をすること、筋肉を動かすことで体温を上げることができます。食物も関係します。

2 酸素不足については、呼吸を深くすること、呼吸法が大切です.気功などは呼吸法を重視します。

3 睡眠不足については、十分な睡眠をとらないと脳が正常に機能しませんが、特に夜中の2時から4時までの時間帯は熟睡して成長ホルモンの分泌を促すことが望ましい。また、昼間日光に当たるとセロトニンが体内に発生して、それが夜になるとメラトニンという睡眠誘導物質に変化します。天然の睡眠剤です。

睡眠時間7時間の死亡率がもっとも低く、それよりも長くても短くても死亡率が高くなる。(玉腰暁子・愛知医科大学教授)

4 人類が直立歩行を始めた後遺症でもあり、脳の発達による重みもあり、脊椎、特に首筋は、誰でも年齢を重ねると、生活習慣の偏りが原因となり何らかの歪みが生じます。これが脳の循環を阻害します。首筋のマッサージは有効ですが、首から腰まで背骨の矯正が必要です。(別添3-1)(KISK式脊椎矯正法)

5 食べ過ぎると、消化のため胃や腸などに血液が流れ過ぎ脳へ十分に血液が回りません。

6 血液をサラサラに。食べ物が影響します。生の玉ねぎなどがいいとされています。玉ねぎの皮を煎じて飲む方法もあります。

7 自律神経のバランスをとること。気持ちを「ゆったり」として、交感神経と副交感神経のバランスをよくします。心に余裕を持ちましょう「あせらず、あわてず、あきらめず」(三つの「あ」の心構え)。

第2 「健脳」食(脳も栄養を求めています)

脳の栄養ですが、脳に筋肉はありません。身体が求める栄養と同じではありません。脳の

特徴は、ブドウ糖の大食漢で酸素の浪費家ともいえます。また有用な脳内物質の産生にかか

わる栄養の補給も必要です。脂肪酸、アミノ酸やビタミン、ミネラル、酵素などバランスよ

く摂取することです。

第3 「浄脳」作用(脳の解毒も必要です)

脳の掃除です。脳内にアミロイドβという成分が蓄積すると認知症になるといわれます、このほか脳に有害な物質は除去(解毒・デトックス)できればいいのですが、カレーの成分のクルクミンは有効といわれています。インド人の認知症患者はアメリカ人の5分の1というデータもあります。

漢方の抑肝散もいいといわれます。最近の研究で、その成分の一つである甘草に神経細胞の死滅を抑制する効果が認められました。(名大錫村教授)

このほか抗酸化作用のある飲食物を摂るといい。カテキンを含む緑茶等も有効でしょう。

精神的なストレスなども正常な脳機能の働きを阻害します。精神の安定などこれを取り除

くことも必要です。

第4 「活脳」運動(脳は体の運動で鍛えます)

計算などの一時流行した「脳トレ」(脳で脳を鍛える)では効果が上がりませんでした。

特別養護老人ホームなどで見かけますが、認知症になっても碁や将棋の強い人がいます。

脳と体の各部分とは相互に作用して密接につながっています。大脳皮質の運動野・体性感

覚野は、特に口と手の指の占める面積が大きく(口は3分の1、手の指は4分の1)(あわせて7/12)、口や手の指の運動で脳の血流が増加して活性化します。バランスをとる平衡運動は小脳や大脳基底核を刺激します。これらの運動は人類の類人猿以来の生存のための原始的な基本の運動です。同様に、「歩く」という運動も人類の基本的な動作の一つで極めて重要です。ウオーキングによって脳の血流が増加し、脳内物質が増産されることが確かめられています。

また、筋肉を鍛えると成長ホルモンが産生され脳にも好影響をもたらします。

第5 「快脳」習性(脳は「不快」を避け「快」を求めます)

脳は快楽指向が強いのです。また脳は報酬を与えれば働き、強制されれば抵抗する。した

がって、脳が喜ぶことで脳を誘導すれば効果が上がる。

喜びの基本は「ふれあい」である。人類は集団で生き延びてきた。「孤独」には耐えられ

ない。集団の中で存在を認められることが生きがいである。男女、夫婦、家族、親族、友人、

地域社会の中での「ふれ合い」が基本となる。「ふれ合い」は生きる「張り合い」です。

仲間での「遊び」が最高である。このほか「いい思い出」が鮮やかに甦る音楽、香り、食

事などがある。単なる「癒し」ではない。音楽療法でクラッシク音楽などが用いられたりす

るが、個人の楽しい「良き思い出」と強くつながっていないがぎり効果、特に病気の治療効

果は期待できない。あくまでも個人個人向けのオーダーメイド・カスタムメイドでなければ

意味が無い。

「頭の健康法」は人の集団「ふれあい」の中で実践されると、一人でやるよりも遥かに効

果は大きい。グループづくりが必要不可欠である。

4 「頭の健康法」10か条(実践項目) ~自分向けの脳活性法~

「頭の健康法5原則」に沿って集めた情報の中から自分自身向けの実行可能な項目を選び、

「マイ10か条」としてまとめて書き留め、日常的に実践します。余り欲張らない方が長続

きします。以下に一例を挙げますが、各自はこれに拘る必要はありません。あくまでも独自

に自分自身で自分に適切な項目を選んでください。

<「頭の健康法」私の10か条>

(再生脳循環)

第1条「脳循環をよくしよう」 正しい呼吸法 (ゆっくり呼吸)鼻から1・2で吸い、口から3・4・5・6で吐く。折に触れ思い出して反復実行。

第2条「首筋を真っ直ぐに柔らかくしよう」 首筋の筋肉・骨の歪みを正す。(脊椎矯正法)毎日1回は実行。

(健脳食習慣)

第3条「脳も栄養をバランスよく摂ろう」 バランスのとれた食事を 菜食も肉食も 偏食しない 脳にはブドウ糖 ビタミン、ミネラル、酵素が必須。

(浄脳作用)

第4条「脳の掃除をしよう」 週に3日はカレーライス(大リーガーのイチローは毎朝カレーライス)(クルクミン成分の多いカレーを)

第5条「脳の酸化を防止しよう」 緑茶、特に「深蒸し茶」を毎日飲む。

(活脳運動)

第6条「食べるとき30回は噛もう」 カムカム30運動 食事に30分以上かけよう。よく味わって楽しく。

第7条「手の指で脳を磨こう」 グー・チョキ・パー運動 気がつけば実行

第8条「体のバランスをとろう」 片目片足で立つ 気がつけば実行

第9条「足から脳を鍛えよう」 週5日・1日45分以上ウオーキング 5分速足・5分ゆ

っくり。

(快脳習性)

第10条「脳が気持ちよく働くようにしよう」 音楽回想法 楽しい思い出が鮮やかに甦る音楽を1曲か2曲選んで車のオーディオに入れたりして、バックグランドミュージックとして毎日繰り返し聞く。

5 「脳をよくする各種の方法」(情報ボックス)~身の回りは情報の宝庫~

毎日の生活の中で「頭の健康法」に役立つ「関連情報」に気がつけば手帳など「情報ボッ

クス」に溜め込んでいきます。自分用の「頭の健康法5原則」や「頭の健康法10か条」の

補完・改定の資料として活用します。「情報ボックス」は「原材料の倉庫」です。したがっ

て、情報の出所を明記して、なるべく原文に忠実に書き留めておく方が便利でしょう。

第1「再生脳」循環 ~脳機能は再生できます~

1 体を温める 2 腹八分目 3 血液サラサラ 4 睡眠 5 その他

<脳疾患>(浦上克哉・日本認知症予防学会理事長)(JAFMATE2011・06)

脳梗塞や脳出血などは、脳血管性認知症を招く最大の原因です。高血圧や糖尿病はアルツハイマー型のリスクを高めるという研究報告もあります。

<腹式呼吸>白澤卓二「100歳までボケない101の方法」(脳と心のアンチエイジング)

歳をとると、肺の機能が落ち始め、ガス交換がうまくいかなくなり、十分に酸素を体の中に取り込むことができなくなります。当然、脳の働きも落ちます。

長寿のオペラ歌手・中川牧三さんのベルカント唱法(脳に酸素がいきわたり、ストレスを和らげるセロトニンという神経伝達物質をふやします)。

①    なるべく静かに、少しずつ口から息を吐ききります。

②    お腹に手を当てて、お腹全体が膨らむのを意識しながら息を鼻から吸います。(腹式呼吸)

これを1日1回5分間くり返します。

カラオケは一石二鳥の長寿法。

よく笑う人は認知症になりにくい。笑わない人は毎日笑う人より認知機能の低下がみられ

る人は2倍以上いました。(大平哲也・大阪大学医学系研究科公衆衛生学教授)

<副交感神経を下げない>(小林弘幸・順天堂大学医学部教授「なぜ「これ」が健康にいいのか」サンマーク出版)

男性の副交感神経が女性より10年も速く下がることが判明したいま、平均寿命の性差に自律神経の低下時期が深く関係していることは大いに考えられます。・・・自律神経とは、体のライフラインである「血流」を支配することで、私たちの体を構成する六十兆個の細胞すべてを無意識のうちにコントロールしている、ある意味では脳以上に重要なのです。血流が悪くなると細胞の機能は低下し、体は持てる能力を充分に発揮することができなくなります。血管では血栓ができやすくなり、免疫力も低下するので病気を発症しやすくなるのは

もちろん、治癒力も低下するので、どんなにいい治療をしても効果はあまり上がらなくなります。血流が悪くなることのディメリットは、たんに充分な栄養が行き届かなくなるだけではありません。実は血流が悪化すると「血液の質」そのものが低下してしまうのです。自律神経のバランスの悪い人の血液は、充分な酸素を運ぶことのできない質の悪いものになっているといえるのです。・・・ 緊張したときやあせったとき、つまり交感神経が優位になることで自律神経が崩れているときは、「ゆっくり深い呼吸」が有効です。

第2「健脳」食 ~脳も栄養を求めています~

<アルツハイマー病患者の食事>(植木彰・自治医科大学教授監修「認知症を防ぐスーパー

健脳食」講談社)

一つは、エネルギーや脂肪の「とりすぎ」です。こうした傾向から、エネルギーオーバー

や高死亡食がアルツハイマー病の危険因子となることがわかりました。

そしてもう一つ、患者さんに共通して見られた傾向が野菜や魚などの食品を「とらなさす

ぎる」ことです。

<脳の栄養とは>(白澤卓二・順天堂大学医学研究科・加齢制御医学講座教授「100歳までボケない101の方法」~脳と心のアンチエイジング~)

脳の栄養不足の状態が起これば、認知症を確実に呼び込みます。なんといっても、でんぷ

んや果糖といった糖質が大切。

脳を目覚めさせるためにも体の栄養補給にも朝食は欠かせません。

<サケ>

サケは抗加齢という目的で食してもらいたい魚のナンバーワンなのです。サケの赤身を

つくっているアスタキサンチンという天然色素は、抗酸化作用がたいへん強いのです。ビタミンEの500倍、トマトのリコピンなどより強く、いまのところ「史上最強のカロテノイド」といわれています。アスタキサンチンのいいところは、血液関門を通り抜けられることです。

<ブロッコリー>

野菜の王様はブロッコリーです。最近、野菜の栄養素として注目を集めているのが、フ

ァイトケミカル(植物化学物質)。このファイトケミカルを20種類以上もっているのがブロッコリーなのです。

<果物ジュースか野菜ジュース>

週3回以上飲む人はアルツハイマー病になるリスクが週に1回も飲まない人より76%も低下したという研究があります。

<赤ワイン>毎日赤ワインを飲んでいる赤ワイン群ではでは、記憶力も落ちず、アミロイドβたんぱくの量(面積)も老人斑も増えていませんでした。

<DHA>

DHAもいい。DHAの豊富な魚といえば、マグロ、真鯛、ブリ、サバ、ハモ、キンキ、サンマ、真いわしなどです。干物になってもDHAはそこなわれないそうです。ちなみに1日に1切れぐらいが適量とされています。

<ビタミンE>

アルツハイマー病を予防する効果があるが、治療する効果は弱いことがわかりました。ビタミンEは野菜や果実をとらないと効果がなく、サプリメントから摂取した場合、アルツハイマー病の抑制効果がないことです。ビタミンEが群を抜いて多いのは煎茶の茶葉、トウガラシ、抹茶、アーモンド、サフラワー油などです。

<食べ方>

1回の食事は20~30分かけて食べましょう。ゆっくり食べるコツは、よく噛むことと、途中で休むようにすること、味わって食べることです。ひとくち30回は噛もう。

<バランスよく>(浦上克哉・日本認知症予防学会理事長)(JAFMATE2011・06)

食生活ではなるべく多くの食品を食べ、バランスよく栄養をとることが大切。肉を控えて魚の割合を増やし、脂質や糖質、食塩をとりすぎないよう心がけてください。

さまざまな食品成分の効果が研究されていますが、どれも必ず予防に効くと断言できない

のが現状です。たとえば青魚に含まれるDHAやEPAが脳の働きをよくするのは確かです

が、食べれば直ぐに認知症に効くというわけではありません。

赤ワインは、赤ワインに含まれるポリフェノールが、アルツハイマー型を招くアミロイド

βタンパクの脳内沈着を防ぐ。またレスペラトールという成分は、海馬の神経細胞を活性化する。(研究どおりの結果を得るには毎日グラス3~4杯程度を飲むことに。飲みすぎるとアルコール中毒やアルコール性脳障害の危険も)

アルコールは、種類を問わず、少量のアルコールを飲む人は、まったく飲まない人に比べて認知症の発症が約40%減少。(飲みすぎにならないように注意。日本酒なら1-2合が目安です。)

DHA、EPAについては、DHAの摂取でアミロイドβタンパクの沈着が40%減少。(DHAやEPAには中性脂肪を減らす効果も。肉類を週2~3回とすれば、魚介は週45回を目安に。)

ビタミンC、ビタミンEについては、たくさんとると、アルツハイマー型の発症リスクが

20%減少。サプリメントではなく、食べ物からの摂取が重要。(ビタミンB群がよいという報告も。さまざまな食品から自然にとりいれるとよいでしょう。)

<トルゴネリン>生のコーヒー豆に多く含まれる成分で神経細胞を活性化する。(深煎りし

たコーヒーやインスタントコーヒーには、トルゴネリンはほとんど含まれません。低温焙煎

コーヒーが理想的です。)

<野菜>(植木彰)

野菜には、ビタミンC、βカロテン、ビタミンEなどの「抗酸化物質」が豊富に含まれて

います。この抗酸化物質がフリーラジカルを抑えて、老化、ひいては認知症のスピードを緩

めます。 緑黄色野菜には、ビタミンEやβカロテンが豊富に含まれています。

<肉食も必要>(高田明和「肉を食べると健康になる」中経文庫)

肉が健康をつくる理由は二つあります。一つは、抵抗力や回復力を高める、つまり免疫力

を高める良質のたんぱく質(必須アミノ酸)を効率よく摂取できる点。もう一つは、肉に精

神を安定させ、脳の活動を健全に保つ働きがある点です。肉はうつ病などの気分障害を防ぎ、

認知症予防にも有効な食べ物なのです。

<甘いものの取りすぎ>(植木彰)

甘いものやブドウ糖過多が脳に及ぼす影響は主にふたつ。一つは、インスリン抵抗性を招

き、高インスリン血症を惹き起こすことです。もう一つは、脳内にインスリンが大量にある

と、アルツハイマー病の原因である「アミロイドβたんぱく」の産生、分解に影響が出るこ

とです。 いずれも、脳の働きを低下させたり、認知症の危険性を高める可能性があります。

<元気な高齢者の食事>(別添2-1)(献立の例)

第3「浄脳」作用 ~脳の解毒も必要です~

<脳ストレス>(有田秀穂「脳からストレスを消す技術」サンマーク出版)

脳ストレスをコントロールするための機能は二つあります。一つは、ストレスを受け流

す機能です。これは「セロトニン神経」を活性化することで高まります。それには①太陽の光②リズム運動です。長時間よりも長期間。 もう一つは、溜まっているストレスを一気に解消する機能です。これは「涙」を流すことでスイッチが入ります。

<薬物療法>(浦上克哉・日本認知症学会理事長)(JAFMATE2011/07)

アリセプト:アルツハイマー型では、脳の神経細胞の減少に伴い、神経伝達物質であるア

セチルコリンが減少する。このアセチルコリンの分解を防ぎ、神経細胞の情報伝達を助ける。

レミニール:2011年1月に承認。アリセプトと同様の効果に加え、神経伝達物質の放

出を促進する。

イクセロンパッチ・リバスタッチパッチ:2011年4月に承認。効果はアリセプト同様。貼り薬なので投与が確認しやすい。

メマリー:2011年1月に承認。神経細胞が減少していくのを防ぐ効果あり、アリセ

プトとの併用も期待できる。

アスピリン:アスピリンの抗炎症成分が、アミロイドβタンパクの沈着を抑える。(根本治療薬のひとつとして研究されていますが、副作用もあり、認知症での利用には病院での処方が必要です。)

<うつ病>(高田明和「肉を食べると健康になる」)

うつな気分に陥るのを防ぎ、うつ病を予防することは非常に重要です。いったんうつ病に

なると再発の可能性も高く、最近では薬が効かないことも多くあるので、長い間苦しまなくては成りません。

セロトニンの不足がうつ病を惹き起こします。脳内に入ったトリプトファンは酵素の作用

でセロトニンになるのですが、それを助けるのが「光」「運動」「明るい考え方」の三つです。

<心の掃除「運動の身念処」>(高田明和「肉を食べると健康になる」)

ブッダは煩悩がわいたときに有効な方法を「運動の身念処」と名づけました。

歩いているとき、右足が出たら「今、右足が出ました」と自己報告します。次に左足が前

に出たら「今、左足が前にでました」と自己報告してください。手にも注意を向けてみましょう・・・私もいやな思い出や心配事が頭をもたげたときは、ブッダの身念処を実践するのですが、実に有効です。しばらく続けているうちに、たいていのいやな思い出は消えます。

第4 「活脳」運動 ~脳は体の運動で鍛えます~

<脳を鍛える>(ジョンJ・レイティ・米国ハーバード大学医学部教授「脳を鍛えるには運動しかない」NHK出版)

人体のメカニズムは狩猟採集時代の原型から大きく変化していない。追いかける・逃げる・探す。歩く・走る。運動と脳の相関は強い。体から脳への働きかけが重要。

<脳トレより筋トレ>(高田明和・浜松医科大学名誉教授「一秒禅」成美文庫)

最近は脳トレーニングよりも筋肉トレーニングといわれています。適度な運動をしたほう

が、脳トレよりも脳の刺激になり、認知症防止などにも役立つということです。さらに、運動はうつ病の治療にも効果を持ちます。

運動をすると、脳細胞を刺激するBDNF(脳由来神経栄養因子)という物質が出て、脳が活性化することも知られています。BDNFは、細胞が突起を伸ばす時に刺激になるので、神経のつながり、つまりシナプスの形成を高めるのです。

認知症の患者に運動をさせると、自分で何かしようと決断する「執行」という能力が高く維持されます。自分を抑える「自制」、自分がどこにいるかを知る「空間認識」、あるいは転んだ時などにすぐ手がつける「反応速度」などが増すことも知られています。

運動をすると、神経細胞、特に記憶の入り口である海馬の細胞が増えることが示されています。

<活脳体操>(篠原菊紀「ボケない頭をつくる活脳体操」法研)

脳の各分野を刺激する各種の体操(別添5-2)(活脳体操)

<脳トレ体操>(野沢秀雄「脳トレ体操」角川書店)

脳を刺激する各種の体操(別添5-3)(脳トレ体操)

<ミトコンドリア>(太田成男・日本医科大学教授・日本ミトコンドリア学会理事長「体が若くなる技術」サンマーク出版)

ミトコンドリアは脳などの神経細胞に多い。脳の血流を増やし、ミトコンドリアのエネルギーをつくる能力を高く保つには、

1 マグロ(サーキット)トレーニング 少し強めの運動と有酸素運動のくり返し

2 姿勢を保つ

3 寒さを感じる

4 空腹を感じる

の四つの方法がありますが、いずれも「エネルギーが不足しているよ」というシグナルを与えることがポイントです。

<ウオーキング>(高田明和・浜松医科大学名誉教授「一秒禅」成美文庫)

運動の中で「歩く」ということの効果は非常にあることが知られていますから、お金をかけずに脳の老化を予防するためには、歩くことが推奨されます。しかし、それ以上に私がおすすめしたいのは「ラジオ体操」です。私は「ラジオ体操」に不思議な力があると思っています。心を変え、周囲の人と気持ちを一緒にさせる力です。

(白澤卓二「100歳までボケない101の方法」)

<「速く歩く」「ゆっくり歩く」を繰り返す><15分インターバルウオーキング>

(小林弘幸・順天堂大学医学部教授「なぜ「これ」」は健康にいいのか)サンマーク出版)

背筋を伸ばしてゆっくり歩く。というのが、自律神経のバランスを安定させる最高の歩き方なのです。「ゆっくり」で「副交感神経を高い状態に保つこと」が健康な人生を生きることにつながり、自分の能力を最大限に発揮できるように導いてくれるのです。

夕食後の「最低30分の散歩」が理想的な運動。

<手を開く><息を吐く>(小林弘幸)

親指に力を入れるな!「手を開く」こと。「手をぎゅっと握る」と副交感神経が下がる。息を吐く時間が長ければ長いほど副交感神経が刺激される。

<スクワット>(白澤卓二)

イスやテーブルにつかまってスクワット。5~6回1セットで1日3回。

第5 「快脳」習性 ~脳は「不快」を避け「快」を求めます~

<アロマセラピー>(浦上克哉日本認知症予防学会理事長)(JAFEMate2011/06)

アルツハイマー型では、物忘れがひどくなる前に,匂いがわからなくなるのです。そこで

アロマオイルを使って臭神経を刺激すると、臭神経に直結している脳の海馬へも刺激が届き、

海馬の機能が回復して、認知症を予防・改善できる可能性があります。昼間はローズマリー

とレモン、夜用は真正ラベンダーとスイートオレンジのオイルをブレンドしたものを芳香器

などにたらして芳香浴をします。実際に認知症の患者に用いたところ、特にアルツハイマー

型の患者に症状の改善がみられました。

<肉を食べると元気になる>(高田明和「肉を食べると健康になる」)

肉を食べたときの独特の満足感、活力はどこからもたらされるのでしょうか。

単に気分的なものと思われるかもしれませんが、じつは肉に含まれるある成分によるもので

あることが、最近の研究でわかってきました。 それはアナンダマイドという物質です。動

物の細胞膜に多く含まれる不飽和脂肪酸のアラキドン酸からつくられたもので、脳に作用し

て幸福感をもたらし、痛みや不安を和らげる働きがわかっています・・・ 肉を食べること

は、脳を健全に保ち、精神を安定させるうえでも大事なのです。肉に含まれるトリプトファ

ンを豊富に摂ると、脳内の神経伝達物質・セロトニンが増えて、精神的な安定が保たれます。

6 「認知度」の判定  ~単なる「物忘れ」か「認知症」か~

<認知症とは>「本間昭・社会福祉法人浴風会/認知症介護研究・研修センター長(2011・06・25日本経済新聞)」

認知症とは、「正常に発達していったん出来上がった知的能力が、脳やほかのさまざまな

病気が原因で一過性ではなく持続的に低下し、日常生活に支障をきたすようになった状態」を総称する言葉なのです。

認知症の原因となる病気は何十種類もありますが、最も多く見られるのがアルツハイマー型認知症です。これが全体の6割近くを占め,それに次ぐ血管性認知症としてレピー小体型認知症を合わせると全体の9割近くになります。

認知症の症状は中核症状と、中核症状によって二次的に生じる行動・心理症状(周辺症状)

に大別できます。そのうち中核症状とは記憶障害などの認知機能障害のことで、アルツハイ

マー型認知症でいうと多くの場合、まず物忘れという形で起こってきます。物忘れは加齢に

よっても増えてくるので両者の区別が問題になりますが、一般的にいうと認知症に伴う物忘

れでは自分が体験したこと全体、例えば旅行に行ったこと自体を忘れてしまうのに対し、加

齢に伴う物忘れでは泊まったホテルの名前など体験の一部を忘れるといった違いがありま

す。

物忘れ以外では、例えば料理の手順を間違えるようになったとか、買い物に行くといつも

同じものを買ってくるとか、以前は普通にできたことができなくなった、または不確かにな

ってきたといった変化が見られるようになったら要注意です。

<空間認識>(2011・3・9NHK総合テレビ「ためしてガッテン」

物忘れか認知症か)30秒模擬テスト

(1)片手の指でキツネ型を作り、次は両手でハト型を作り真似してもらう。

(2)時計の絵を描いて時刻を示してもらう。

<匂いがわかるか>(浦上克哉・日本認知症予防学会理事長「JAFMAITE」)2011/06)アルツハイマー型では、物忘れがひどくなる前に匂いがわからなくなるのです。

<医療機関での認知症の診断>

まず本人と家族に、どのような変化がいつごろから起こってきたのか、また身体にどのよ

うな病気があって、どのような薬を飲んでいるかなどを詳しく聞きます。

次に認知機能テストを行って障害の内容と程度を確認し、同時に磁気共鳴画像装置(MRI)

やコンピューター断層撮影装置(CT)での脳の形態的な画像検査を行います。

脳血流を調べるスペクトルという画像検査を行うこともあります。

それらを総合的に考えた上で判断することになります。

<各種評価表>

記憶・判断・行動の認知能力を評価するには、いろいろな方法があります。

各種の口頭試問もあればペーパーテストがあります。(別添6-1)(評価表)

<心身バランス計>

我々と、体重計などで著名な(株)タニタと協働で、認知度を測定する「心身バランス計」を開発しました。外見は体重計に似ていますが、個人個人の体の重心の動きの違いで認知度のパターンが変わります。通常は重心が体の中心を外れてもストレートに戻りますが、認知度に異常があると、直ぐ戻らないで、中心を外れた所をさ迷います。機械によって客観的に結果が目に見えるので便利です。認知症等の予防や治療に活用する予定です。いろいろな判定方法と組み合わせて用いると説得力があります。乱用を防ぐため、「管理者」を置き講習を受けてもらいます・(別添6-2)(バランス計の写真)(重心移動軌跡パターン)

7 「グループ活動」の相乗効果  ~自助・共助・公助~

人類は集団で生存競争を生き抜いてきました。集団生活は人間の本質(属性)でもありま

す。逆に孤独からは多くの支障・障害が発生します。人類の宿命です。

(1)グループのつくり方 「頭の健康法」は、例えば「OO健康市民塾」とか「OO市

民健康倶楽部」」などグループで実践すると効果が挙がります。人と人との「ふれあい」が

重要です。老若男女のミックスが望ましい。刺激が多いからです。特に女性がリードするグ

ループは活力があります。同じような人たちの集まりでは刺激が少なくグループ効果も限定

されます。いろいろな経歴や立場の異質な人が混じれば、話題も知恵も盛りだくさんになり

ます。「三人寄れば文殊の知恵」の例えもあります。知恵の「生産性」が上がります。

①    熱心な人がリーダー役・世話役になる。

②日時や場所が決まっている。

③負担が少ない。

などが成功する要件になりますが、できれば

④催しは全員参加型で

⑤独自の「5原則」と「10か条」を創り

⑥みんなの自由な意見交換で発展させて行く。

ことが望ましいようです。

一つのパターンとして

①    1時間ほど座学(読書会)(勉強会)

②    1時間ほどウオーキング、体操などトレーニング

③    その後、飲み物・食べ物を用意して交流会(アルコールはほどほどに)

④    ときには成績優良者を「健康市民博士」として表彰

⑤    たまには遠出のツアーを企画する。家族を含めてもよし。

⑥    近くの病院や福祉施設を訪問して学習する。

というようなスケジュールも考えられます。

最寄のクリニックから医師、看護師などにメンバーで参加してもらうと、メンバーの健康管理や急病のとき便利です。各地に潜在している看護師のOBなど専門的な知識・経験のある人材にも、声をかけましょう。「心身機能活性療法指導士」の認定を受けた方が参加されればベストです。

また、災害時など、いざというときメンバー同士の助け合いがやりやすくなります。いわば「健康」を核としたコミュニティづくりです。役所との連携もよくなります。「自助」から「共助」そして「公助」です。

「健康医療市民会議・信濃」の活動が行われている茅野市では、有志が地元クリニックの医師の後援を得て「心身機能活性療法」の実践と「頭の健康法」の普及のモデル事業に取り組んでおられる。

こうした活動を通じて、市民の中から、「頭の健康法・実践リーダー」が育ち、さらに、その中から、知識・経験の豊な「市民博士」が生まれ、自主的に「市民活動」が拡大・発展をしていけば理想的です。また実地に認知症患者の治療ができる「心身機能活性療法指導士」として活躍できる人材が増えてくれば、多くの患者本人はもちろん家族も不幸な状態から解放されるでしょう。

(2) ネットでグループ活動 最近では、年齢を問わずインターネットを利用する人たちが増えてきました。メンバーが個人で、あるいはグループで「頭の健康法」活動の情報発信をして仲間とコミュニケーションをとり、活動を広く発展させることができるようになりました。ホームページを設け発信し,あるいはツイッターやブログで情報交流もでき、このところ急速に拡大しているフェースブックなどの交流サイト「SNS」(ソーシャルネットワークサービス)を活用して、メンバー相互の、またグループ相互の交流を活発化することもできます。ネット上のオンライン交流からネットを離れたフェースツーフェースのオフライン交流へと発展していくこともあるでしょう。多くのグループが連携すれば社会的にも大きな力を発揮できるようになります。「市民運動」に止まらず「市民政治」の実現へと向かうことも期待できます。特に若者や女性が大きなパワーが生まれます。

8 「自然治癒力」と「自己治癒力」 ~「人間」中心の座標軸~

(1)「自然治癒力」とは 病気の予防も治療も基本は「自然治癒力」です。動物も植物も、生物は共通して「自然治癒力」を備えています。傷ができればそれを修復し、病気になればそれを治そうとホメオスタシス(恒常性保持機能)が働きます。この「自然治癒力」を常に強化していくことが大切です。また「自然治癒力」を弱めないように心がけることも必要です。これまでは、専門家の発想で、限られた得意の専門の「道具」を操って「健康」や「医療」が論じられてきましたが、これに満足しないで、患者側市民が自分が主人公だという意識で、自分が一人間として座標軸の中心に位置している感覚で幅広く発想していくことが必要です。何しろ自分や家族の命を左右することですから、狭い領域の一専門家に「丸投げ」してしまってはいけません。

(2)四つの場 人間を取り巻く四つのフェーズ(場)があります。座標軸の中心は人間・個人です。(別添8-1)(四つのフェーズ図解)

「フェーズ1」(自然治癒力)(生物一般) 自然の力を信頼すること。

「フェーズ2」(遺伝子への反逆)(人間固有) 人間の遺伝子に逆らわないこと。

人類の身体は脳ほど進化していない。「人体のメカニズムは狩猟採集時代の原

型から大きく変化していない」(ジョン・J・レイティ「脳を鍛えるには運動しかない」(NHK出版))。

一方、生活様式はどんどん変わってきた。そのギャップか病気の要因となっている。例えば、狩猟採集時代の生活は、

①    朝日とともに起き落日とともに休む。生物時間のサイクル。

②    獲物や食糧を求めてよく歩いた。

③    常に空腹であった。

④    歯の構造は菜食向け。肉食向けは一部。

⑤    塩、砂糖、アルコールなどはなかった。

⑥    厳しい暑さ・寒さを体感した。

などで、人類の進化の段階はこれらに対応するような人体メカニズムに止まっている一方、特に先進諸国では文明の発達で生活は大きく変化して、人体メカニズムに反した日常習慣になってきているので、そのギャップから様々な故障が出てきている。

「フェーズ3」(対人マサツ)(集団) 人類は集団で生き抜いてきたが、同時に人間相互の反目、争い、疎外などで苦しんできた。人と人とが協調・融和すれば心は安定し、また活力を得るが、対人関係のマサツが起こればストレス、ノイローゼ、うつ病などの心の病を生み身体の異常へと発展する。

「フェーズ4」(自己治癒力)(個人)動植物を通じた生物一般の「自然治癒力」のほかに、人類は、意思や行動によって生活を、そして自分を変えていく力「自己治癒力」がある。例えば、

①生活の規律を守る。

②考えて食事を摂る。(医食同源)

③サプリメントで補う。

④運動やトレーニングをする。

⑤風邪等になれば、家庭薬等で治す。(セルフメディケーション)

⑥症状が重くなれば専門の病院などで診てもらう。

などの行動で「自己治癒力」を働かせるが、基本は「意思の力とその方向」(ベクトル)で、それによって結果が左右される。「信じるものは救われる」ともいわれる。生き抜く意欲とか精神力が心身を強固にする。

(3)「自然治癒力」の軽視 我が国では、この「自然治癒力」も「自己治癒力」も医療や介護の世界では、予防や治療の基本であるにもかかわらず重要視されていない。これらを強化する努力が保健点数などで高く評価されるようシステムに改善すべきである。現行の制度も政策も、長い間「政・官・業の利権トライアングル(三角体制)」で私物化されてきた後遺症がまだ癒えていない。したがって「政・官・業」各界は未だに病気の「予防」に関心が低く力が入らない。<病人は営業の種(リソース)、多いほど結構>と考えているのではないかと疑いたくなる。

9 「予防」から「治療」へ  ~「心身機能活性療法」の普及~

30年近く前、小川真誠・日本心身機能活性療法指導士会理事長は米国エニー・バンデグ

医学博士のスポーツ医学(フラハンド、フィンガースポーツ)を日本に導入し、体の運動で脳を鍛える「心身機能活性療法」として発展させ、国内および海外、特に中国上海、台湾へ普及活動を続けてきた。上海では上海市が市の事業として、この「活性療法」で多くの認知症患者等の治療に成功している。この模様は2011年4月17日放映の国際放送「NHKワールド」で世界に報道された。(別添9-1)(症例)(写真)

国内でも徐々に「活性療法」が普及しつつある。国内の「心身機能活性療法指導士」は

2000人をこえ、その活動も拡大し、2011年7月30日、熊本市で、「活性療法」を

積極的に導入されている医療法人社団大徳会・大阿蘇病院(内田徳郎・理事長・医学博士)

の協力で行われた「公開セミナー」でも全国の「活性療法」実践例が数多く紹介されるよう

になった。

我が国の医療・福祉制度の下では対症療法や介護が主体で認知症の「治療」には重点が置

かれていない。現行の医療や介護における保険点数は低い。対症療法として薬物療法などが

施されているが、医療や福祉の関係者は、経営上プラスにならないこともあって、多くの認

知症等の改善実績のある「活性療法」への関心が高くない。患者や家族にとって誠に残念な

ことである。治れば家庭・家族の不幸・悲劇もなくなるのに・・・国家財政にとってもマイ

ナスである。

しかしながら、現実には多くの認知症患者や家族が苦しんでおり、また患者の数もどんど

ん増加しつつある。我々「健康医療市民会議}(KISK)は「活性療法」の普及の後押し

をしてきたが、さらに一般向けの「頭の健康法」で幅広く啓発しながら、「活性療法」を広

め、一人でも多くの患者そして家族を苦しみから救っていきたい。

最近では誰もが知る著名人も治療を試みる事例がでてきました。これからも「頭の健法」

実践の仲間づくりを通じて周知して患者・家族に治療の機会を与えるよう努力していきたい。(別添9-2)(治療施設の紹介)

10 「市民学」は「市民運動」へ  ~「市民政治」の実現~

(1)「市民会議の活動」 我々の「健康医療市民会議」(KISK)は2007年に官界、

財界、芸能界などから有志の参加を得て創設し、2011年7月には月1回の定例会が40

回を数えました。毎回、専門の講師に奉仕していただいて勉強会を重ねてきました。(別添

9-3)(講師一覧)

この間、国の政策や制度に多くの壁があることを実感し、医療側・国会議員・市民側三者

の「医療改革懇談会」(別添9-4)(メンバー表)を設けて議論もし、2009年総選挙の前に「医療制度の改革」の提案(別添9-5)(提案書)もしてきました。例えば「医療改革国民会議の創設」などはマニフェストの中で、当時の与党・自民党や公明党が実現を約束し、民主党も賛同してくれました。(別添9-6)(マニフェスト抜粋)ところが、政局の混乱もあり今日に到るも何ら実現していません。

「官僚政治から市民政治へ」の提案(別添9-7)もしましたが、与党となった民主党が「政治主導」を取り違えて、官僚を排除してすべて政治家が行うことに拘り政治・行政が行き詰ってしまった。政治家の役目は、基本方針を決め、後は責任をとるだけです。具体化や執行は官僚に任せればよいのです。

結局のところ政治家任せでは国民・市民が犠牲になるだけです。本当の「市民政治」は市

民が主役で、「政治主導」も市民が背後でリードしなくてはならない。民主党政府は自分た

ちが主役だと錯覚してしまった。思わぬ政権を得て「与党初体験」の「野党ボケ」が多くの

失政の元となった。有権者である市民側も「批評家」気取りで当事者意識に欠けているのも

問題です。

(2)「市民の出番」 いよいよこれからが「市民学」の出番です。自分自身や家族の健康や生命を守るためにも、日本の政策や制度を変えていかなくてはなりません。「誰かがやってくれるだろう」では世の中は変えることはできません。

①    先ずは自分から立ち上がることです。

②    「市民学」の手法で自らの考えをまとめたら、

③    口コミ、手紙、メールで同士に呼びかけ、

④    グループづくりやグループ間連携で大きな力に育てていくことです。

⑤    インターネットは強力な武器になります。

一例として、

「健康医療市民会議」(KISK)では、2010年以来「国際介護予防センター」や「日本ゲーゴル協会」とともに、高齢者ドライバーの事故防止のため「運転感覚強化プログラム」事業の立ち上げに取り組んでいます。高齢化に比例して認知度の低いドライバーが増えてきました。認知症と判定されれば免許証の自主返納が求められますが、地方・地域では車の運転ができないと生活に困難をきたします。「できれば認知度の悪化を止め生活を守りたい」という要望は強いものがあります。また運転ができなくなった高齢者は社会の負担となっていきます。

できれば自動車運転教習所などで、この「運転強化プログラム」によって、例えば65歳以上ドライバーの講習をする仕組みをつくりたい考えです。このため2011年4月19日に専門家会議「認知症等対策研究会」を立ち上げました。(別添10-1)(研究会)これからも「役所任せ」にしないで、いろいろな手段を凝らし心ある人たちの協力を求めていきます。これも「市民運動」の一つです。

「市民会議」では、かねてより「がん」「脳卒中」「認知症」の三つを重点課題としてきま

した。「認知症」の課題が一山越えたら次は「がん」の課題に注力する予定です。「抗がん剤」

など多くの問題があります。「脳卒中」も予兆があり、未病の段階が検査で判ります。的確

に予防措置ができます。

政治・行政に一任しないで患者側市民が自ら勉強して、自己努力をすると同時に、社会の

仕組みを変えていかなければなりません。「政・官・業」に「丸投げ」では我々の健康や命を守ることができません。「あいつが悪い」と批評家に収まっているだけでは世の中は良くなりません。

古代ギリシャ以来、「市民」は政治の重要なテーマとして論じられてきましたが、今やチ

ュジニア、エジプトなどアフリカでも「市民」革命が進行しています。市民の政治意識が高

まり、インターネットという「市民の武器」を持って立ち上がると巨大なエネルギーで社会

を変革していきます。「知らしむべからず、与らしむべし」の時代は終わりました。ではあ

りますが付和雷同で大きく進路を誤ってはいけません。「衆愚政治」ではなく「衆賢政治」

で社会が賢明な選択ができるように個人個人が「市民学」で武装しなければなりません。「市

民学」は「市民運動」を通じて個人レベルから社会レベルまで発展させてこそ本来の意義が

あります。

11 副読本

<初級>

植木昭(監修)「認知症を防ぐスーパー健脳食」(講談社)

篠原菊紀「ボケない頭をつくる活脳体操」(法研)

<中級>

生田哲「脳の健康」(講談社)

板倉徹「ラジオは脳にきく」<頭脳を鍛える生活習慣術>(東洋経済)

高田明和「一秒禅」(成美文庫)

野沢秀雄「脳トレ体操」(角川書店)

<上級>

小川真誠「認知症が目に見えてよくなる改善プログラム」(亜紀書房)

ジョンJ・レイティイ「脳を鍛えるには運動しかない」

(別添資料リスト)

資料2-1 大脳皮質運動野・体性感覚野・図解

3-1 KISK式脊椎矯正法

5-1 元気な高齢者の食事

-2 活脳体操

-3 脳トレ体操

6-1 認知度評価表

-2 心身バランス計・写真、重心移動軌跡パターン

9-1 NHKワールド写真・心身機能活性療法症例

-2 心身機能活性療法・施設

-3 健康医療市民会議・講師一覧

-4 医療制度改革・提案者

-5 各党マニフェスト抜粋

-6 「官僚政治から市民政治へ」

10-1 認知症等対策研究会

(頭の健康法・参考図書目録)

(概括書)

(1)(Aグループ)(再生脳)循環

(2)(Bグループ)(健脳)食

(3)(Cグループ)(浄脳)作用、(活脳)運動

(4)(Dグループ)(快脳)習性

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