市民本位の健康医療に向けて

第33回定例会 日野原重明先生講演 報告

2010年12月26日 by KISK事務局  


「変わってきた健康の考え方と健康保持の対策」日野原重明先生。聖路加国際病院理事長同名誉院長・99文化功労者05文化勲章授賞。1911年山口県生。37京都帝国大学医学部卒。41聖路加国際病院内科医から院長。聖路加看護学園理事長・財団法人ライフ・プラニング・センター理事長・新老人の会会長。成人病を「習慣病」と名付ける。09米国ホイットフィールド万次郎友好記念館開設10「葉っぱのフレディーいのちの旅」ニューヨーク公演等
梶原代表から99歳で医療や社会活動や執筆で御活躍中の先生から健康と元気の秘訣を直接拝聴できる感謝と、榊原節子会員の紹介で実現との発言に続き、元気一杯の日野原先生が壇上に登場され、マイク片手の立ったままでの身振り手振りのジェスチャーを交えた素晴らしい講演が始まりました。

10月24日で満99歳、健康と元気の集いを健康医療市民会議等が協働で開催され、新しい健康の考え方を話せるのは大変嬉しい。健康は日常の健康保持の行動が一番大切。明治44年生で10月24日で満99歳。翌日韓国を訪問し100歳記念の名誉博士号を受けた(韓国式では当日100歳)。日本の医師養成制度(高卒後6年)は40年前に韓国も導入。米国は4年の大学と4年の専門課程で8年。現在韓国はその8割は既に8年制に強化し一変した。日本は遅れている。医師は自由でもモチベーションがない。本年ノーベル化学賞を鈴木根岸両博士が受賞。110年間日本の医師100万人でも医学賞はゼロ。米国120人・英国40人・スイス10人。利根川進氏は京都大学理学部化学科卒で免疫の研究をと考えたがだめで、米国に留学し分子生物学を勉強し87年ノーベル医学賞。家族全員の音楽ファミリーで私も音楽療法推進者だが素晴らしい。日本の医学教育の改善のため聖路加病院で米国式の新教育制度を創設したい。実現は110歳までかかる。

毎日午前2時就眠で6時半起床。夜は昼「いのちの授業」で教えた子供達たちに手紙の返事を全員に書く。10歳の子供に生命と平和の素晴らしさを勉強してもらって、地球や日本の将来を変えて欲しいと思っている。同時に子供達のエネルギーの氣をもらっている。

健康の元の字はHALで聖的な全体的な意味である。「健康」の内容は全く変わってきている。高性能の電子顕微鏡で脳を輪切りで観察すると凄い判断が。10月の韓国で聞くと20億円/台が一台ある。欧米でも4台しかない。日本は通常の2-3億円のみ。韓国では半分は国の補助金、残りは資産家の寄付。日本は高齢者の資産1250兆円は死蔵だ。米国では資産の半分は寄付する約束をした資産者のグループが活動。実際は99.9%寄付の資産家もいる。日本は運用もせずタンス預金。将来2-7年で中国の人口一割の資産家が動く。インドも後に続く。日本は教育がだめ。米国の様に、大切なものはなにか、厳しいことにもチャレンジ、先を見て自分で考え行動することを教えないと。

「健康」の「健」とは人の自立。聖路加病院は520床の全部の壁に酸素の配管をし人工呼吸器が使える。15年前のサリン事件の時640人を入院治療できた。大災害時の対応も考えた施設に予め考えて対応していたから。中立国のスイスやスエーデンでは緊急用に病院の廊下は非常に広かったのを勉強していた。このような発想と行動が自立。49階建の築地のビルは地震にも耐えられる片側固定の柔軟構造。土地と建物も大手不動産に定期借地権の活用で対応してもらって30年間賃料収入で資金繰りは可能。先程のメディカルスクール創設も2011年から2020年の予定表ある。「康」は体と心の平静・安寧。健康とはWHOでは身体的・精神的・社会的・霊的(スピリッチュアル)によい状態にあることをいう。霊的とは宇宙や太陽から授かるもの。宗教・価値観・生甲斐・赦し・感謝心に関係する。

遺伝子が悪いと80歳で1/5は認知症になるが、悪い遺伝子は眠らせ、良い遺伝子は活性化させる研究を始めている。ルネデュボス著「人間と適応」は「健康な状態とか、病気の状態とは、環境からの挑戦に適応しようと対処する努力に、生物が成功したか失敗したかの表現である」とする。健康教育は従来の「医学知識を与える」から「当人が健康行動の実践を自ら行うように持って行く」ことが大切。市民や患者の医師への上手な情報提供の教育が大切。自ら考え研究し、言葉を選択し、グラフやメモの事前準備を含め、具体例を示しながらその対応の考え方をご説明。先生の時間も考え、「年齢は2月に85歳になった」「痛いところの具体的表現法」「健康・病気・手術暦・薬名・アレルギー反応の食品や薬」、緊急連絡の際の「意識・熱・血圧・脈拍・手足の動きや冷たさの表現や持ってくる尿・便・痰」、診察や検査に適した下着等上手な医師のかかり方をご説明。平素の健康データー一覧表準備、相談したい問題点や自分の意見の事前整理、慢性病の表、薬利用の表等。

健康には、外へ向かう体の健康と内へ向かう心の健康の二つがある。体が病むと心がうずき食欲も無くなり生きる気力を失う。たとえ病気でも内なる自己に今日も生かされている感謝の気持があれば生きるエネルギーが生まれる。体が病んでも老いても心の中に命の健康感が漂えば健康が実存する。健康とは「湧きい出でる健康感」なのだ。病人でも前向きに何かを期待する気持ちがあれば心は健康だ。病人でも健康感をもつことが大切。幸福とは幸福感を持つことで、心が満たされて幸福だと感じる主観的な感覚だ。貧しさ・災害時・戦場の厳しい環境下では、人からの僅かな親切や思いやりが幸福感をもたらしてくれる・黒雲の中に垣間見る一片の青空のように。だが文明や平和の恩寵に長く浴すると幸福と感じるハードルが高くなり、幸福感が鈍くなる。「幸福とは上を向いて歩く人々がめいめいの胸にもつ幸福感」だ。

「私の生き方の習慣の選択」は、1どう食べ 2どう呼吸し 3どう動き 4どう休み 5どう仕事をし 6どう集中して考えるかの六項。食事は朝昼は軽く昼は牛乳とクッキー、夜は確りと・油のないフィレ肉週二回・魚とサラダは毎日・バナナは毎日一本・サラダは山ほど食べる・ブロッコリーは良い・オリーブ油利用は動脈硬化対策やシミ対策に効果。一日1400kcal。人は30歳過ぎると肥満病が出る。米国でもニューヨークやボストンは良いが中部やカリフォルニアは肥満多い。メキシコもそうで子供まで肥満。カロリーを上手にコントロールが大切。村上章子さんの歌集に「体重に余分は持たずかもめどり 空飛ぶものは潔くして」がある。鳥のように軽くなるの意。私はいつも小さい紙用意して俳句を創る。ボーっとしているのは駄目。「創る気持ち」が大切。五つの言葉を話す大使もいる。創作ですこやかに若返る。エレベーターやエスカレーターは使わない。上がって下向いてやったーと叫ぶ。

上手な呼吸は長がーく息を吐くこと・吸うのは直ぐだ。座禅の呼吸も通常14回が2-3回の呼吸になる。声帯のバイブレーションは健康に非常に良い。声を出そう。歩くときは踵から歩く。肩甲骨の訓練にもなる。各人が日常の行動を具体的に分析して自ら対応してこそ健康になる。「新老人の会」が砂防会館にある。生き方が変わる。これが上手な死に方に通じる。元気な人は何時までも元気に働いて、畑作業で働いてピンピンコロリとなり、幸せだ。立ちっぱなしでのエネルギッシュで心のやさしい雰囲気の凄い講演が終わり万雷の拍手喝采が続きました。司葉子さんから花束が贈られ頬キスの元気さをもご披露。素晴らしいですね。皆んなも自分も頑張ろうとまた拍手が続きます。

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