市民本位の健康医療に向けて

第32回(11月)定例会報告(メモ)

2010年12月3日 by KISK事務局  


11月の定例会は、代表梶原が急な風邪で発熱と言うことで欠席し、初めて代表不在の会となりました。また、毎回司会をして頂いている小山悠子先生も、今回、経営独立に伴う多忙のためお休みということでいつもと違う雰囲気の会となりました。事務局からの簡単な中間報告の後、循環器病の権威、東邦大学教授の山﨑純一先生から「心腎連関」のお話を聞きました。CKD(慢性腎疾患)とか(CVD)心血管疾患という用語に慣れるのに多少の時間がかかりましたが、生活習慣病に身に覚えのある人にはとても役に立つお話であったと思います。また、講演の後、会員だよりとして、㈱ラックショー社長の石橋様より水素のお話を聞きました。昨年8月の内藤先生のお話「水素の医学的効用について」の復習になりました。

1「心腎連関」山﨑純一先生
医学博士 東邦大学医療センター大森病院循環器内科主任教授。日本心臓核医学会理事長

梶原代表とは友人の岐阜県総合医療センター院長の渡辺佐知郎先生とのご縁で本日の講演とご紹介、精悍で重厚な講師のエネルギッシュなお話が始まりました。本会では既に高血圧、虚血性疾患、糖尿病はお話があり、私は心筋梗塞、高血圧、心不全等が専門だが、本日は「心腎連関」の話をする。血管は心臓・腎臓・脳とも相互関係があり「心脳連関」でもある。内容は「1慢性腎疾患(CKD)の患者数の推移、2腎機能障害とは、3糸球体血圧の検知、4 CKDと心血管疾患(CVD) のと関係「心腎連関」、5 CKDの治療」について話したい。

国民医療費31.5兆円。腎疾患4.1% 高血圧7.9% 脳血管7.1% 糖尿病4.8% 虚血性心疾患2.9%。慢性透析患者08年28万人・現在30万人。透析患者の原因内訳は慢性糸球体腎炎23%で減少、糖尿病腎炎は43%で増加中。慢性腎臓病対策の重要性の背景は透析患者が今後とも増加、生命予後は一般人の50%。週3回4時間ずつの透析は体力的にも大変。

慢性腎臓病の判断基準は1明らかな腎障害を尿蛋白・血液検査等で確認、と、2糸球体[補注:腎臓は心臓からの血液1/5を受入れ不要物を濾過排出し血液を浄化するが、それは輸入細動脈からボウマン嚢の糸球体毛細血管群に入り濾過不要物は尿管に・浄化分は輸出細動脈に排出]の濾過量(GFR)≦60ml/min/1.73㎡で判断する。2の判断には血清クレアチニン値の数値が参考に。05年に60ml未満は1926万人、50ml未満は418万人、透析患者26万人。リスクのステージは五段階あるが最悪の5腎不全はGFR15未満。CKDの早期発見には1尿アルブミン 2血圧 3高脂血症4糖尿病5糸球体濾過量(GFR)の調査が大切。アルブミン尿は糸球体高血圧で生じ、心血管病リスク。蛋白尿は心血管疾病+腎不全リスク。心血管病の危険因子に追加の「微量アルブミン尿」は尿試験紙では検出困難なほど微量でも心血管病リスク上昇。

「高血圧 糖尿病 メタボ 肥満 加齢」が慢性腎臓病(CKD)発生のリスクとなる。自動調節機能破綻・糸球体高血圧をきたしうる病態は「輸入細動脈拡張(高血糖 肥満 高インスリン血症 ネフロン数減少)」と「輸出細動脈収縮(RAS活性化 インスリン抵抗性 交感神経活性化)」。2006年米国心臓協会(AHA) は「心血管病のリスクファクターとしてCKDのスクリーニングをする」よう呼びかけた。

「心腎関連」即ち腎疾患CKDと心血管疾患CVDの関係について久山町での研究等をグラフによって 1 CKDと心血管系イベント発現率 2 腎機能GFRと心血管イベント 3心不全例では腎機能の低下に伴いイベント発症率が高まる 4 CKDステージごとの心血管イベント発症率 5心血管系イベントの発現に影響した因子(性別 年齢 脳疾患 心疾患 糖尿病 腎疾患危険因子)等の相関を講師がご説明。

「慢性腎臓病(CKD)のとらえ方」は従来は、「腎炎等→慢性腎臓病CKD→末期腎不全(透析)→心血管イベント」だったが、現在は、
「高血圧に肥満・糖尿病・メタボ・高脂血症が影響→慢性腎臓病CKD→末期腎不全→心血管イベント」の新たなとらえ方に変化している。CKDはCVDの重要な危険因子であり、「加齢 高血圧 糖尿病 メタボ 肥満 動脈硬化 慢性腎炎」が直接又は「慢性腎臓病CKD」を経由して「心血管イベント・心筋梗塞・脳卒中等」に、一方で「慢性腎臓病CKD」から「末期腎不全・透析療法」に。CKDで心血管系疾患が多い理由は「高血圧:GFRの低下で血圧上昇」「心肥大:CKD初期から心肥大が出現」「貧血:頻脈狭心症心不全心筋収縮障害を惹起」「CaとP代謝異常:全身血管の石灰化の惹起」「炎症:CKDのCRP高値が心血管系疾患に関与」「酸化ストレス」「ホモシステイン」が影響。慢性腎臓病は心血管系疾患の重要な危険因子であることが明らかになり、心血管系疾患対策の上でも慢性腎臓病を減少させることが強く求められる。米国心臓協会(AHP)は、「循環器医は慢性人疾患を正しく評価し、腎臓医は慢性虚血性心疾患を正しく評価する」ことを求めている。

「慢性腎臓病(CKD)の治療・降圧療法」は、降圧目標を一般的には、高齢者は140/90、若年・中年者は130/85、糖尿病・腎障害者は130/80mmHgに置く。高血圧治療の基本は、食事療法と運動療法(私は毎日6000歩等)による生活習慣の是正。効果不十分なときは、薬物療法を追加する。自己管理が大切。高血圧関係の主な生活習慣は塩分の取過ぎ。これで体液が増え、それを排泄しようとして血圧が上がる。また血液中のNa(ナトリウム)濃度が上がり血管収縮や腎機能低下で血圧が上昇する。50億年前に海に生物が生れ、陸上に上がり人間になった。従って塩分は比較的摂取しやすい。日本人の塩分摂取量は現在12-13g/日と多い。塩分は半分5-6gを目標に1-2割ずつ徐々に減らすべき。具体的には塩分の多い食品を減らす。加工食品は多い、醤油2.7g 味噌汁2g スープ1-3gラーメン3-4g。味噌汁も一日一杯・ラーメン汁は飲まない。次にK(カリウム)の多い野菜・豆類・果物・イモ類を増やす。KはNaを体の外に出す働きをする。カロリーを減らし肥満をなくす。減量で血圧が下がる。

慢性腎臓病(CKD)の降圧療法の血圧を下げる目標は130/80mmHg未満、蛋白尿や糖尿病性腎症の場合は125/75。原則として降圧薬は、ACE阻害薬かARBを使用。尿蛋白はできるだけ減少させる。降圧の違いによるイベント累積発症率を通常降圧と積極降圧のCa拮抗薬とACE阻害薬の薬品別でその効果を各種のグラフでご説明。薬は毎日規則正しく飲む。

治療のまとめとして、「慢性腎臓病(CKD)は心血管疾病(CVD)の重大なリスク」を強く意識する。CKDは軽症のうちに適切な治療を、そのため早期発見を。生活習慣の改善を含め患者が積極的に治療に参加。高血圧は目標にあわせRAS阻害剤を、不十分なら利尿薬、CCBの併用投与も。CKDに対するCCB投与はエビデンスのある薬剤を。CKDは特別な病態ではなく、日常臨床でよく見受けられる病態であり、それを意識するかが大切。と締め括られました。会員の多くの関心事への確りとした判り易い講話に拍手喝采が
続きました。

会場から「塩分で歯磨きの粉等がショッパイが大丈夫か。自分は手の血管が細いが大丈夫か。高血圧
でアルカリ水の飲料は良いか。家庭用の血圧計の標準値との関係」の質問。講師は「飲まなければ大丈夫・ソフトに時間をかけての歯磨きが大切。動脈は通常なら問題ない・静脈に血栓ができ肺にとぶことは治療必要。家庭用は5程度低く130/80にセットされているが日常生活の状態での検査となり問題はない」と回答されました。

会員だより 「水素について」株式会社ラックショー代表取締役 石橋 國鷹 様

水素の医学的効用については昨年8月、当時佐野厚生総合病院の内藤先生の講演では臨床例などを交えてお話頂きましたが、その復習の意味を含めて、会員で、現在水素のサプリメントを取り扱っておられる㈱ラックショーの社長石橋様に改めて水素の効用について話して頂きました。

現代生活の中では、環境汚染、食品添加物、ストレス等々、体内に活性酸素を発生させる要素が非常に多い。活性酸素は体などの異物を取り除く働きをする等生命には不可欠の要素であるが、過剰にあるのが問題である。この過剰な活性酸素が細胞をがん化させる等の病気を引き起こす働きをしている。活性酸素を除去する食品はいろいろあるが、ダイレクトに活性酸素をマイナス水素イオンで中和させるのがもっともよい。

また、加齢に伴って自己免疫力が落ちている。水素にはこの自己免疫力を高める効果もある。したがって、病気の予防に素晴らしい効果がある。水素は活性酸素の除去にはとてもよいが、もちろん水素だけではだめで、バランスのとれた栄養、適度な運動、十分な睡眠も必要。水素には熟睡を促す効果もあるし、寝覚めが良い。

水素をミネラルなどに吸着させ、水中で水素イオンを発生する仕組みのサプリメントを勧めているが扱っているサプリメントは酵素も配合しており、今のところ最高の水素サプリメントと自負している。

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