市民本位の健康医療に向けて

第30回(9月)定例会報告(メモ)

2010年9月27日 by KISK事務局  


第30回(9月)定例会は21日(火)、日本財団の会議室をお借りして開催しました。例によって、梶原代表から、中間報告に続いて、「認知症ゼロ作戦」についての報告があり、その後、鈴鹿から駆け付けて頂いた、健康食品管理士認定協会理事長の長村洋一先生の講演を聞きました。

1.中間報告 梶原拓代表
定例会に関しては、8月の定例会の講演(加圧トレーニング)のポイント、今回の講演の長村先生の紹介、10、11、12月の予定についての報告があり、また、理想農法実践研究会、理想農法実践事業体の活動(市民農園の検討)などについて報告がありました。

2. 「認知症ゼロ作戦」健康医療市民会議 梶原拓代表
本日は世界アルツハイマーデー。世界で1500万人。認知症は昔は痴呆で所謂ボケ。日本は認知症大国。現在226万人が30年には330万人に。人口
も減少し、家族の負担や老々介護が問題。国家財政も医療負担で大変。10%消費税程度では。自分で自分を護ること大切。多くはアルツハイマーだが、脳に蛋白質アミロイドβが蓄積の原因説が定説になりつつある。吉祥寺の入江義文院長(阪大ハーバード大慶応大)は、これが活性酸素を出し海馬の脳細胞が死滅し認知症になるとされ、Aβの分解・除去・出た活性酸素の除去が今後の治療の方向とされる。現在は対症療法と周辺を良くする・終身介護のみ。アリセプト(銀杏の実原料)も進行の抑制のみ。入江先生は漢方の抑肝散、石菖蒲の根、この化合物オイケノール(歯科)、去タン剤(Aβは喉のタンに似る)が効果かと研究中。また音楽療法の高周波の曲が脳にα波で癒し効果を、青春期に好んだ音楽を事前に登録して利用するのも効果的か。バリテーションで高齢者の尊厳を大切にし介護者が患者の傘の下に入って相手が正常と考えて対応し精神安定を図る方法も。
最初に講師をお願いした日本心身機能活性療法指導士会理事長の小川真誠先生の「心身機能活性療法」は30年前に開発された全体プログラムで、現在3000名の指導士が福祉施設、病院等で活躍中。また上海や台湾でも指導中。認知症のほか脳卒中、うつ病、子供の自閉症の改善運動にも応用。メカニズムは1活性温熱療法2フィンカースポーツ療法3フラハンド有酸素運動4ゲーゴルゲーム運動5認知症改善回想療法からなり、科学的エビデンスは明確ではないが現在大学教授が改善の数値化を研究中。私の推論ではこの総合的組合せで脳の運動野が活性化しAβを分解除去するのでは。運動野の1/3は口腔の刺激、1/4は指の刺激で、合計7/12を占める。脳の高度活動の領域ではなく、猿だった時代の「単純な反復の動き」、最も基本となる脳機能の部分の活性化が大切。上海政府の病院での事例では元高官院長の患者が3ヶ月の運動で改善したのが判る。日本では理解はしても、改善で収入増のシステムでなく、5月15日に長妻厚生労働大臣に「認知症ゼロ作戦」の陳情をしたが、その改革には時間がかかるか。現在これとは別に安藤警察庁長官に高齢者に「運転感覚強化プログラム」を提供し運転感覚の鈍化の事故を減らすことを提案し、心身機能活性療法を含むトレーニングプログラムの研究作成活用を運転関係の諸団体に協力要請中。
また介護予防センターを設立し、各地に地域センターを設置して保険外でまず対応することを推進。先ず平塚市のユーミーケアで第一号を始め、次いで熊本県の大阿蘇病院と長野県茅野市での開設を準備中。心身機能活性運動指導士の養成は全国で3日コースで実施されている。代表の凄いチャレンジに一緒に頑張ろうと盛大な拍手が続きました。

3. 「健康食品との付き合い方」鈴鹿医療科学大学教授・健康食品管理士認定協会理事長 長村洋一先生
梶原代表から、健康食品問題の日本での権威とのご紹介で、優しく威厳のある雰囲気の長村先生の講義が始まりました。岐阜薬科大学で
学び、愛知の藤田保健衛生大学で恩師藤田啓介先生から医療関係者のチームワークと情報ネットワークの大切さの実践指導を受け、独デュ
ッセルドルフ大学留学と同大学教授就任を経て新設の千葉技術大学、次いで鈴鹿医療科学大学教授に。健康食品の良い面と悪い面の情報整
理がされていない。健康食品市場は2兆1-3千億円で、うち特定保健用食品8千億円、残りの健康食品1.2兆円は玉石混淆で、一般の人は玉も石も判らず、情報も届かない。健康食品には1有効性の表示の問題、2品質の問題、3医薬品との相互作用の問題がある。
まず効果の表示の広告は、映像で見るよう無茶苦茶なものもある。1タレントを使う2派手な体験談・肥満外来の1ヶ月10kg減量の表示だが半年で骨ツボか3やたらと化学名を並べる4○○先生がお勧めの権威付け。動物や試験管で有効の表示だが、人間での有効性は必ずしも同じでない。医薬外の食品の有効性の証明はかなり難しい。製品会社データーの場合も。効果と感じたものに実は医薬品の混入もあった。ダイエットが過ぎ低血糖で怪我する者も多い。また品質の問題だが、ある製品ではよく見ると・作用に個人差がある・すべての人には当てはまらないとの記載も。サメの軟骨も糖分検査で豚のものも。錠剤は賞味期限がありその保存対応で、飲んでも余り吸収されないものも。これが広告や効果の現状です。最近、健康食品の担当事務の一部が消費者庁に移管されました。

次に医薬品との相互作用の問題。摂取者が多量に摂ればよいと錯覚して過大摂取したり、医薬品等との食べ合わせ飲み合わせの問題も。健康食品を扱える人材が消費者との間に介在すれば有効ではと、問題に適切に対処できるアドバイザリースタッフの教育界での教育を目的に、16年に「健康食品管理士認定制度」が医師、薬剤師、臨床検査技師、管理栄養士、獣医師等の多くの有志の連携で、発足。現在7000名の資格者が頑張っている。また一定の認定基準を満たす大学や専門学校は「認定校」(京大阪大名大等)に登録され、卒業生等は管理士試験の受験が可能。認定校には最低1名の管理士資格の教員が必要。常に新しい情報が大切で、協会はエキスパートの「教育委員会」を組織し、ネット又は通信教育での厳しく丁寧な生涯教育を実施。例えばドクダミ茶は一般的に飲まれるが、腎臓の悪い人が飲めば早期に心臓に問題が。この人に良いか悪いかが問題。教育委員会は医薬品との相互作用も調査。講師は多くの具体例をご説明。協会は「健康食品ポケットマニュアル」発行。専門書で高価だが「民間使用例、有効成分等、相互作用のある医薬品等と市販名等、相互作用は増強か低下か、相互作用の理由、検査値への影響」が記載され、過去に起きた副作用や管理士から寄せられた注意事例も記載。食で最も大切なのはバランスと安全。「食の過不足は病を創り 均衡よき食は病と未病を癒す」。バランスと自ら食べる意識が大切。低カロリー食事論が緊急に必要。糖尿病やメタボリックの予備軍が2-3千万人。重要なのは低カロリーで、低栄養ではない。ビタミン、ミネラルの吸収力は年齢で低下し、若干の補給はする方がよい。食と栄養管理を通して健康を極めることを鈴鹿で継続したい。難しい問題への力強いお話に会場からの盛大な拍手が続きました。

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