市民本位の健康医療に向けて

川渕孝一「日本の医療が危ない」

2008年12月2日 by KISK事務局  


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[著者]川渕孝一(かわぶち・こういち)一橋大学商学部卒、シカゴ大学経営大学院修士課程修了 東京医科歯科大学大学院教授 スタンフォード大学客員教授 専門は、医療経済学、医療政策、医療経営
[著書]「医療改革ー痛みを感じない制度設計を」東洋経済新法社、「病院を使いこなす法」WAVE出版など

[コメント]本書は、医療経済学の観点から、豊富な具体例を挙げながら「よい医療」とは何か、医者と患者の間にあるギャップは何か、現状をどう改善したらよいか、などについて具体的な提案を試みている。医療消費者の患者・市民にとって必読の書である。幅広い情報が集められているので、患者・市民側の「健康医療問題ハンドブック」の役割も果たしている。

本書の最後に、「あとがきにかえて」医療改革に関する具体的な工程表が示されている。ポイントは3点

1 情報ギャップを埋める努力
「医療の受け手」と「医療の担い手」の間に存在する情報のギャップ。医療の受け手に医療機関を選択する情報がほとんどない。医療機関の担い手もお互い同士を知らない。そこで医療機関の受け手には信頼に足る情報を提供する一方、医療の担い手側も情報の共有化を進め、自らの得意・不得意を知ることで、医療機関の再編を促進する必要がある。

2 モラルハザードの阻止
医療保険制度にまつわるモラルハザードを阻止するため、国民医療費の約3割を占める「生活習慣病」に対しては「アメ」と「ムチ」の政策が必要。例えば禁煙補助剤の保険適用とタバコ増税。名医には加算、医療事故リピーター医師には免許剥奪。
「はしご受診」は抑制できない。大病院の横にメディカル・コンプレックス(診療所複合体)、ケア付き住宅の普及。

3 家内産業から基幹産業へ
「家族経営」的色彩の強い医療界を、真の「非営利組織」としてポーポレート・ガバナンスが期待できる組織体に作り変えていく。「質の向上と効率化」。

著者は、「機会の平等」も「結果の平等」もない日本の医療の現状、失望して国境を越える患者の増加傾向など、問題点を指摘し、「医療生産者」中心から「医療消費者」中心に、「公」の支配より「民」の活用を訴えている。
そして「自分の身は自分で守る」、自己責任が問われる時代だと、テーラーメイド・サプリメントの可能性、セルフ・メディケーション普及など提案しされている。また「かかりつけ医」を持つ、病気の前兆を自覚する、病院の探し方、診療科縦割り表示、セカンドオピニオン、医療過誤にも言及しされている。

なお、次のような患者側にとって有益な情報提供もある。

* 「テーラーメイド・サプリメント」を事業化しようとする企業がでてきた。(株)フォルマデザイン

* 2001年、セコム損害保険会社が、がんの自由診療保険「メディコム」の発売。自由診療で受けた入院治療費は全額、直接保険会社から病院へ支払う。セカンドオピニオン医や病院の紹介も、この保険の目玉。

* 「医者にかかるべきと判断される症状」(米国薬剤師会による行動指針)(風邪、インフルエンザ)
1 熱が摂氏38、8度より高い 2 緑がかった、あるいは暗黄色の鼻水が出ている 3 喉が痛み、飲み込んだり呼吸したりするのがひどく困難 4 過剰によだれが出る 5 リウマチ熱の既往がある 6 10日以上咳が続く 7 胸部や肋間部に痛みがある 8 咳に伴って、ゼーゼーしたり、呼吸が速まったり、呼吸困難がある 9 激しい頭痛や難聴がある、あるいは耳から液が出る

* インターネット健康医療情報(ITを駆使して患者本位の医療を)

ニフティの健康情報サイトーインターネット医科大学 http://health.nifty.com/index.jsp

保健同人社の健康相談とWEBコンテンツ http//www.hokendohjin.co.jp/hkd/Jhealth/j-Health_F.html

万有製薬の健康情報 http:/www.banyu.co.jp/kenko_index.html

NTTデータの健康に関する総合サイト http://www.health.ne.jp

女性の健康専門サイト http://www.jfpa_info/wh/

* 病気の前兆

1 「突然、頭をハンマーで殴られたような痛みが走る。頭の中で花火が爆発したような感じがする」という場合は、クモ膜下出血が疑われる。
2 右肋骨下あたりに突然、転げ回るほどの激痛が走ると胆石の疑いが濃厚。
3 「左胸の中央から肋骨にかけて焼けるような痛さで死の恐怖を感じるほど」の痛みを感じると、これは心筋梗塞の疑い。
4 急性膵炎は、突然、上腹部が痛み、次第に強くなる。背中が痛むこともある。
5 「朝、起きたときに手がこわばっている感じがする。膝やひじの関節が痛くなる」という症状が出たら慢性関節リウマチの可能性がある。
6 腰痛持ちでもないのに、腰のやや上の左右、腎臓のあたりが重く、痛みがあるケース。腎盂腎炎が疑われる。子宮筋腫も腰痛が現れる。
7 単なる「めまい」「風邪」「いびき」が命とり 女性更年期障害、メニエール病、突発姓難聴、一過性脳虚血障害、循環器疾患初期、急性肝炎、無呼吸症候群。
8 静かに進行する”怖い病気” 糖尿病、歯周病、がん、「心の病」うつ病、緑内障。

* 「健康保険組合連合会」(健保連、東京都港区)http://www.kenporenーhios.com.
全国病院(三分の一)専門医数、常勤医数、疾病ごと治療法、検査法、手術方式、小児救急、セカンドオピニオン、差額ベッド、高度先進医療などの情報提供。

* セカンドオピニオン紹介サービス 1 中村康生代表「医者がすすめる専門病院」医師中心登録医の紹介 2 がんの標準治療普及を目指すナグモクリニック 3 外科医・土屋繁裕氏病院・有料 4 東邦大学医学部付属大森病院 完全予約制 5 日本医療コーディネーター協会(看護士中心)

* 医師紹介サービス 1 サテーテル 2 法研 3 ティーペック

* 薬の副作用への対処 1 医薬品医療機器総合機構「医薬品副作用被害救済制度」 2 薬剤師会HP 3 厚生労働省HP
「医薬品等安全性関連情報」 4 民間・医薬品監視機構「薬害オンブズマン」HP 5 各都道府県「薬剤情報センター」

[ロケーション](位置付け)「健康ナビ」総論E(自己責任)各論E(早期発見・早期治療)

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